
アナベルは自分が相手に何かをしてあげることは容易にできるのだが、誰かに何かをしてもらうことはなかなか受け入れにくいと言った。更には、食すことにおいても楽しみをあまり感じなく、いつも無理して食べているということも話してくれた。
まず、彼女が話した「食べ物の問題」は心理学的には大きな問題を抱えていることを表しているが(食べ物というのは子供の頃の家族関係やまわりの人との関係を表している)今は心理治療関係にフォーカスしたかった。
そこで彼女が誰かからの「養い」を受け入れることのできるアクティビティを考えてみた。
私たちは手を取り、彼女の手をゆっくりとなでてあげた。彼女は同じ動作を私にもし始めたが、それは「受け入れる」ことよりも「相手になにかをしてあげる」という好意になっていたので、私は彼女をとめた。私はこのことを通し彼女が人から愛情と養いを受け入れることができるかを見てみたかった。しかし、彼女はなかなかそれを受け入れることができず、腕がかたく、まるで硬直しているかのようだと言った。また彼女は唇をかみ、私が差し出している「癒し」を拒んでいるようだった。
なので彼女の手を取ったままの状態で彼女の腕をゆっくりと上にあげ、動かした。彼女の腕をゆっくりと回しながら、体の力を抜き、リラックスをして、私に身を任せるようにと言った。しかし彼女はなかなかリラックスすることができず、私の手をしっかりと握り私が彼女の腕を動かす動きに合わせて自分でも腕を動かしてしまった。
私たちがこの一連の動作をする中で、彼女は少しだけリラックスし私に身を任せることができたが、なかなか私に「完全に頼り切る」ことができなかった。
なので私は宿題として他の誰かとこのアクティビティをするように課題を出した。
またこれからのカウンセリングで必要になってくるものは様々なことがあるが、特に彼女が他の人に頼ることができないことや「食」というものが成長して行く中でどのように彼女に影響を与えたかを知る必要がある。
ゲシュタルト法では「壁」にあたった時、それを押し倒していくのではなく、その「壁」があることを認識しそれを受け入れるようにしている。また創造的調整(creative adjustment)をもたらした環境や理由を探るため、家族関係など全体的なことを見る様にしている。そして「創造的調節」を受け入れ、理解し、肯定的に扱うようにしている。こうすることにより、私はアナベルがなぜそこまで物事を手放すのを恐れているのかをよりしり、彼女が手放すことで何を失うことを恐れているのかを知ることができる。おそらく、彼女の家族関係の中では「信頼」や「(人への)委ね」は良い結果をもたらすものではなかったのだろう。
このような背景があるため、今後のセラピーでもゆっくり、彼女のペースに合わせて行く様十分注意しないといけない。彼女が「癒し」を受け入れることができるよう、一歩一歩すすめていかないといけないのだ。
また、セラピーで実際に食べ物を使うこともできる。例えば、切ったりんごを用意し、りんごを食べる一つ一つの動作を通してどのように感じるかを考えるアクティビティなども効果的だと思う。ゲシュタルト法では「何かをすることに漠然とついて話す」ことよりも実際にそれをやってみて、その行動を通して自分がどう感じるかを認識することに焦点をおいている。
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