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2016年8月29日月曜日

Case #82 - 父を探して

イアンは父親との関係を修復しようとしていた。
彼は41歳で、母親は8年間がんと戦った後、去年亡くなったのだった。母の闘病中はイアンが看病をしていた。彼の兄も母の看病を申し出てくれたが、イアンが彼女の世話をはじめてからは、母は他の人にお世話をしてもらうことを拒んだ。
父は母が癌と診断される半年前から出張でずっと家を出ていたため、母が診断された当時から家族から離れていた。父は他の人と一緒にビジネスをしていたが、それがうまく行っていなかったので、ビジネスを回復しようと一生懸命で忙しかった。
そのためイアンが最後まで母の看病をしたのだった。イアンは母をとても尊敬していた。母は医師としての訓練をうけていたが、父と一緒になるために国を出てからはその資格は認められず、看護師として働いてきたのだった。彼女は人生を全うし、威厳を保っている素敵な女性だった。
イアンは父が母をあまり大切にしていないと感じていたため、母への態度とは反対に父は尊敬することができなかった。また彼が育つ中で父が一家の長としてうまくリーダーシップをとることができていないように思えた。
彼の話を聞く中で、複雑な問題が混在しているため、一つ一つの問題を解いていくにはある程度の時間を要することが分かった。
問題は、どこからそれらの問題解決をはじめるかということ、今何が一番大切なのかということと、彼が父との関係をよくしようと努力しているなかで、わたしは何をすることができるのか、ということだった。
なのでわたしは自分の家族について話した。それは、私の母もとても愛にあふれた素敵な女性だったが、父は自己中で一緒にいたくなかったということを。
そんな家族で育ったため、私がどんなにバランスのとれた見方で家族を見ようとしても、母を批判的なまなざしで見る事はできなかった。イアンは彼も私と同じ思いだと言った。しかし、大人になって分かったのは母からの「愛」は彼女の必要を満たそうとしているものでもあり、そのため私ははっきりと自分と母との間に境界線をひくことができなかったということも話した。イアンはそれを聞いて頷いた。また、私は父とよくぶつかったことも話し、彼との関係は私を養うものではなかったということを話した。するとイアンは再びうなずいた。
以前、私は自分がカウンセリングを受けたときにセラピストに、「それではあなたはお父さんとどれくらいの時間を過ごしたいのですか。」と聞かれたことがあったので、イアンにも同じことを聞いた。その質問を投げかけた時に、彼はまだ父と同居していることが分かったのだ。
それを聞いて私は心理教育者として彼にアドバイスをすることにした。普段はアドバイスをするのではなく、クライアントと対等の立場で話すのだが、今回は例外だった。彼に一般的な統計としては、家族と一緒に同居している独身男性は結婚する確率が限りなく低いということを話した。なので、彼が今の家を出ることをすすめた。彼がこのことに対してどう思っているか確認していみると、彼は素直に私の言葉を受け入れた。イアンは誰かに自由になる許可を必要としていたようだった。
次に私はどのくらいの頻度でお父さんと会うのが適当か聞いてみた。彼が週一回に食事をする程度、といったので私は具体的にどこで会うかを聞いてみた。このように具体性をはっきりさせることで、より行動に起こしやすくなるため、具体的な内容を話し合うことは重要である。イアンは私の問いに、彼の家に招いて料理をしてあげる、と答えた。
イアンは今まで10年ほどずっと母へ「与え続け」ていたので、いつも自分が誰かに何かをすることを考えており、どうやってそれを止めたらいいか自分では分からなかったのだ。彼の思いは良好的なものだったが、どこで境界線をひいたらいいか分からなかったようだ。更には、彼の父に対しての思いを考慮すると、イアンがいつも何かをするので心の奥底ではだんだんと怒りがたまってきてしまうのが目に見えた。私がレストランに行くように提案したので、彼はそれに賛成してくれた。先ほど言ったように、彼は「良い父親像」である私から自分の必要を満たすためのものを提案して欲しかったし、それをする許可を得たかったのかもしれない。
私がレストランではどれくらいの時間を過ごすのか聞いたところ、彼は1時間半と言ったので、その間には何を話すのかを聞いてみた。
イアンは、普段は父とは仕事の話はしないが、これからは父と仕事の話もしていきたいと言った。他には何かあるかと聞くと、彼は父の健康状態が気になるのでそのことと、自分自身の将来の計画について話したいと言った。
このようにイアンが父との新しい関係を築くきっかけをつくることができた。まだまだ課題があったが、はじめの一歩を歩みだすことができたのだ。
イアンは様々なことにおいてしっかりとした基盤が必要だった。それらのことは普段、父から受け取るものだが、彼はそれを父から受けることができず、自分の心をケアの仕方や、人生においての方向性をしっかり持つことができていなかった。そのため、私が「父親像」になることにより、彼が一体何を必要としているのかを探りだす助けをすることができるのだ。私とのセッションを続けることにより、彼は父を見下す姿から、何かにおいて父を尊敬する段階への手助けとなり、また私が「父親」の役をすることで、彼自信が父の立場になるための準備をし、「父」という役割のなかで、子供の心の糧になるものを与えるために何ができるかを考えさせることができたのだ。










2016年8月2日火曜日

Case #81 - 「涙」を「心の叫び」へと変える

ジェーンとのセッションは「攻撃的な面を外に出し、人との関係を円滑にさせる」ためのカウンセリングセッションだった。「攻撃的な面」というのは怒りや憤りなどの強い感情のことを意味している。ゲシュタルト法では「攻撃性」というのは悪いものでは無く、むしろクライアントにとって良いものだと考えられている。それは無意識に取り入れられた考え(「成すべき」と本人が思っていること」)を分解していくために効果的だからだ。
ジェーンはしきりに泣き続けていたので、彼女が今どのような気持ちかを聞いてみると「怒りがある」と答えた。
多くの女性は怒りを納めるように教えられているので、怒りの代わりに涙を流す人がよくいるのだ。しかし「泣く」ということは「無力さ」へと変わるため、本当の解決へはつながらない。
そこで私はジェーンに自分の体と心を一体にするよう促した。まず息を吸った時に鼻からお腹へと移動させ、その後、足全体へと吸った息を移動させていくように言った。私は彼女のエネルギーが体の下から上へと移動しているのが見えた。彼女の怒りはどんどん上へと体の中をのぼり、目へと、そして涙へと変えられて行ったのだ。そのため彼女に自分の足をしっかりと地につけ、エネルギーを上から下へと受け流して欲しかった。
まずは足踏みをするように言った。彼女は最初は体が硬直し、なかなかできなかった。私は彼女を支え、呼吸を先ほど言った通りしっかりするように促し、彼女が安全な場所で怒りをしっかりと表に表すことができるよう支え続けた。このようにクライアントが心の奥底にたまっているものをしっかりと表に出すことができるよう支えるのもセラピストの役目の一つだ。
彼女が「地に足をつける」ことを促していくなかで、もう一度足踏みをするようにと言った。彼女ははじめはなかなかできなかったが、ようやく静かに足踏みをした。私は彼女に自分の怒りを感じ取り、それをふくらはぎから足の先へと受け流していくように促した。
また彼女の足踏みを強くさせることにより、彼女のなかにある「攻撃的な一面」を受け止めるよう促した。そして、足踏みに音を加えた。私は彼女と向かい合い彼女と同じ強さで足踏みをした。それは、ありのままの彼女を受け止めてくれる人がいる、ということを彼女が感じることができるようにだった。
これこそがゲシュタルト体験なのだ。それは私たちの選択肢と度量を広げて行くために、問題について「語り合う」ことから、自分の「おかしな」行動を探っていくことである。今回のようなセッションではセラピストのサポートを多いに必要としており、クライアントとのアクティビティもクライアントが本当に必要としている根本的な問題を探るものでないといけない。



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