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2015年10月26日月曜日

Case #51 - 幽霊と向き合う

リアンは自分がいつもびくびくしていることを話した。彼女はゴキブリが怖かったし、ちょっとした音でもびっくりしてしまい、夜には窓からどろぼうが入ってきたり、おばけや「化けもの」がこわく、なかなか寝付けなかった。また、船に乗る時も何か化け物のようなものがいるのでは、と恐れていた。
彼女はちゃんとした大人だったが、この話は大分子供染みたものだった。そこで、わたしは彼女が子供のころ、このような恐れを引き起こす何かが起きたのでは、と尋ねてみた。
彼女はすぐに6歳の頃に起こった出来事を話してくれた。彼女のとても仲の良い男の子の友達がおぼれて死んでしまったのだった。彼が発見されたのは亡くなってから数時間後で、彼がリアンの家に連れてこられた時、男の子の両親は医者であるリアンの父親に息子を助けてほしいとお願いしたが、生き返らせることはできなかった。
その夜は嵐で彼女はとても怯えながら眠りについた。そして、その友達を自分が救うという使命を与えられていたが救うことができなかった、という悪夢をみた。彼女はその後、大人になっていっても彼のことをよく考えることがあり、まだ大きな悲しみを持っていた。この話を聞いて、私は彼女の恐れている「お化け」が何なのか、見えてきた。
そこで恐れを面と向かって直面しないといけないが、この恐怖を解決するためには必要なある「実験」を提案した。それは今の心の波の勢いと強烈な恐怖、そしてせっかくあるこの機会を用いて恐怖と面と向かって対決し、今この時に解決するということだった。
私は自分が彼女の隣りに立ち、一緒に空いている窓を面して、グループの参加者たちには彼女を支えるため彼女の後ろに立つ様お願いした。そして、彼女には子供の頃亡くなった友達の幽霊を今この部屋に呼んでもらう、というものだった。
彼女は言われた通りにしたが、葉っぱが揺れ動くようにふるえていた。私は彼女を自分に寄りかからせ、彼女に手を回し強く支えながら、グループの参加者もすぐ後ろで支えてくれているのを確認した。そして彼女に「幽霊」へ話しかけるよう促し、友達の幽霊に自分がどのような心境にあったか、彼が亡くなってどんなに辛かったか、どんなにか彼に会いたかったかを話す様伝えた。
彼女は私に言われた通りにしたが、しんどそうだった。「私はそっちの世界で、あなたと一緒にいたい」と彼女は言った。私が友達の幽霊がどのように答えたかを聞くと、彼はリアンにそうはして欲しく無い、と答えたと言った。彼女は自分のなかで死を望んでいて、友達と一緒にいたいという気持ちはあったが、幽霊からまだ生きていて欲しいということを聞くのは大切なことであった。そのため、私はもっと友達と話す様に促し、彼に彼女の本当の気持ちを全て話し、彼の答えに耳を傾ける様に言った。
恐怖と深い悲しみの中を通っている時、彼女は始終私の支えを必要としていた。私は彼女にお腹から足へとゆっくり深呼吸する様に言った。
クライアントが今体験していることを感じ取り、激しい感情に圧倒されてしまわないように、ゲシュタルト法では呼吸法を用い、自分の立ち位置をしっかり持つことをクライアントに教えている。子供の頃は特に、このような心理療法は難しいし、誰も教えてくれなかったので、以前は圧倒されてしまった出来事をこうして現在になって消化することができたのだ。
彼女は30年間ずっと恐怖を持って生きていて、いつも息が浅く、浅い呼吸をする度に今までの恐怖を思い出していたのでこのように深呼吸をするのは難しく、私は彼女に呼吸方法を教え、励ましてあげないといけなかった。
しばらくしてから、彼女はとても落ち着いた表情になり、幽霊を解放することができ、もとの自分にもどることができた。そして、自分の体と魂が一致しているのを感じ、今までの恐怖が全て過ぎ去ったのを感じることができた。

2015年10月18日日曜日

Case #50 - 物へ語りかけることと感情表現の励まし

マークは自分の生活の中でのいくつかの課題をあげたが、どれも彼を特に影響しているような強い印象のものはなかった。彼の職はいま過渡期で、以前は父のところで働いていたが、今はそれをやめたばかりだった。彼はいくつかのビジネスを持っていたが、どれもあまり良い稼ぎにはならなかった。マークは今年結婚3年目を迎え、子供が欲しかった。私は彼が物事をすらすらと語る様など、彼の話を一つ一つ聞きながら、それぞれ気づいたことや自分の思うことを話した。
彼は特に「問題」という問題は無いようだったので、私は彼の結婚生活に関して質問した。彼は妻との結婚に満足していて、幸せだと答えた。
大体の場合、これは良い心の状態を示すが、私は具体的にこの「幸せな結婚」がどのようなものであるかを知りたかった。ゲシュタルト法ではコンタクト(ものごとの繋がり)を探ろうとするため、いつも漠然としたものではなく、具体的なものを探っていくようにしている。マークはこの質問にすぐ答えられなかった。私が彼の感情や気持ちについて問うと、彼はまたもや具体的に話すことができなかった。なので、マークは具体的にものごとを表現し、向き合うことができていないために、自分の気持ちを正直に見つめることができていないのでは、と思った。
そこで私はある「実験」を提案した。それはグループの一人一人を見て回り、彼がそれぞれの人を見るときにどのように相手に対して感じるかを考える、というものだった。
「実験」をやってみて、彼は私にちゃんとそれぞれの人を見て自分がどのように感じたかを明確に伝えることができた。マークが人間関係の中で自分がどのような立ち位置にいるのかを理解するキャパシティーがあるのは明らかだったので、恐らく彼はただ誰かの励ましが必要だったのだ。私がそれを言うと、彼も同意した。
次は彼にグループの参加者に「あなたを見るとき、私は(こう)感じる」と具体的に感情表現をするように言った。これはとても簡単なことのように思えるが、彼は自分の気持ちを理解するのが苦手だったので、このように簡単にできる事からはじめるのは大事だった。私が彼に投げかけたこの「実験」は人々を見て、どのように感じるかということをもとにそれを直接その人に伝えるものだった。ゲシュタルト法ではいつも人との関係に結びつくように促して行く。
彼は何人かの人へ語りかけ、毎回はっきりと自分の思っていることを伝えることができた。先ほど言ったように、これを見る限り彼は自分の気持ちを表現することはできていて、ただまわりのサポートが必要なだけだった。
次に私はクッションを持って来て、それを彼の妻に見立て、彼に同じように「きみの中に(このような性質)を見るとき、ぼくは(このように)感じる」と語りかけるよう促した。
彼は毎回はっきりと「妻」に自分の気持ちを話すことができた。私はこれを見ながら彼を励まし、彼は確かに人へ自分の気持ちを伝えることができるのだ、ということを伝えた。私は、彼はただ、人からの反応を恐れずに練習できる環境が必要なのだと言い、彼もそれに同意した。次に、彼に自分の父親へも同じように語りかける様促した。
彼は誰かの励ましさえあればこのように自分の気持ちをはっきり伝えることができるのだ、と私は言い、またクッションに話しかける様促した。まずは妻へ話かけ、その次に父親へ、「あなたが(これを)するとき、ぼくは(こう)感じるので、(このように)あなたの助けを必要としている」と。
こうすることにより、彼は具体的に自分の気持ちを表現することができ、最後には気持ちがとても落ち着いたことを教えてくれた。
この実験は適応認知行動学の良い例であり、感情、人とのつながり、信頼性と励ましを全て適用しているものだ。これらはゲシュタルト法での重要な要素であり、このように誰かに物事を順位をおって教えて行くようなセッションはとても大切である。
必要に応じて、このような方法をゲシュタルト心理学で用いていくことは可能である。大切なのは、ある一定の方法ではなく、クライアントがその時々にどのようなプロレスを必要としているかを見極め、用いることだ。

2015年10月13日火曜日

Case #49 - 硬くなった人形と柔らかい手

アナベルは深い悲しみのうちにいた。彼女は木でできた硬い腕のある人形を持って来ていた。「これは私なの」そう言い、彼女は「私の腕はゾンビのように硬直していて、私の心は沈んでいるの」と付け加えた。
彼女は子供のころ、両親がいつもひどい喧嘩をしていて、そのことにより彼女の心は硬くなってしまい、心に恐れが残ってしまったことをうちあけた。大人になると自分がきつい人間であると感じ、もっと女性らしくやわらかい人間になりたいと思ったが、この人形のように「硬い」ままだった。
私が彼女の言葉に深く耳を傾けていくうちに、だんだん彼女の心情が理解できてきた。彼女は確かに、深い悲しみの中にいたのだ。
同時に私の中でおかしな、それも少し冷笑的とも言える考えがうかんだ。それはゾンビがアニメか何かで出てくる様に面白おかしく歩き回っているものだった。
なので私は彼女との深い心のつながりがあること、そして彼女のことをとても気にかけていることを話し、その後に自分の脳裏にうかんだおかしなゾンビのことを話した。私は彼女に嫌な思いをさせたくなかったが、このこともシェアしておきたかった。
彼女は快く耳を傾けてくれた。私は二人でゾンビになってみようか、と提案した。そこで、私たちは立って、二人で並びながら一緒にゾンビのように歩き回った。グループの皆に向かって歩きはじめたら、多くの人はこのおかしな様に笑っていたが、ある人達は怖がっていたので、その人達は回避してあるいた。それでもこの体験は皆にとっておかしく愉快なものであった。
アナベルがすわり、私も彼女を面して向かい側にすわり、彼女がこの体験を通してどう感じたかを観察してみた。
この体験は彼女の心をやわらかくし、彼女の心を開いてくれたようだった。彼女は自分の人形の腕を触りながらどんなにかそれが硬いかを言っていた。。。でも、腕をよくなでてあげたらそれが柔らかくなっていくかもしれない、ということも。
そこで私は彼女からヒントを得、彼女の腕を手にとり、柔らかくなでてあげた。彼女は小さい子供が誰かにすがるように、私の腕を両手でつかみとった。彼女がこの体験をどう感じているか見たところ、彼女がだんだんとおだやかになっていくのが目に見えた。私は彼女の腕をこすり続けながら、自分の心をやわらげ、おだやかになることについて話した。彼女の手からは強いエネルギーを感じ取った。彼女は自分の腕がだいぶやわらいだ、と言ったので、今度は私が手のひらを上にして両手をひざにおき、彼女にわたしの手をなでるように言った。彼女が私の手を何度もこすっている際に、私は彼女の手から強いエネルギーを感じ取ることを伝えた。彼女は自分の心と気持ちに心から向き合うことができ、その過程をあゆんでいる最中もどのような心の変化が起きたかを教えてくれた。
「あなたの手は私の両親をそれぞれ示しているの。離れているけど、二人とも存在している」と彼女はいった。彼女はそれぞれの手に愛をもって触れ、また悲しみのある目でみつめた。そして人形をとり、人形の顔をわたしの指一本一本に触れさせた。また人形の両腕をとり、片方は私の左手に、もう片方は私の右手につけた。
彼女は「私の両親はそれぞれ別々に生きているけど、私はどちらとも繋がっている事ができる」と言った。
これは彼女が大きな変化を遂げた瞬間だった。彼女の悲しみは意気消沈して行き詰まったものから、心が開き、なだらかなものへと変わっていった。彼女の硬かった腕は今はリラックスしていて、彼女の体の様々な部分は息をし、今現在に存在していて、外の世界とつながっていた。
これは彼女にも、私にとっても、とても重要な体験であり、この体験をしてから彼女は深い平安と心のなかの一致を感じることができた。

2015年10月4日日曜日

Case #48 - 「魔女」とお金と病

ソンリはここ1年ずっと健康を害していた。何回か手術をしていたが、身体的な治療はあまり効かなく、一旦は良くなったがまた症状が悪化してしまった。そのため、心理学的なものでは無いかと思い、様々な精神療法を受けてみた。彼女は色々な精神療法を既に受けていたので、私はそれらをもう一度繰り返すことのないよう注意し、彼女がすでにどのような精神療法を受けていたか尋ねた。一つの問題に対し、色々な療法を試みるのはよくないことで、このような問題に対しては専門家による慎重な判断が必要となってくる。
医者に行く時にセカンドオピニオン(他の医者の意見)をもらうのはいいかもしれないが、4−5人の医者をはしごしても、訳が分からなくなるだけで逆に混乱してしまう。一つの問題に対し一人のセラピストに診てもらうことで、その問題を深く取り扱うことができるが、色々なセラピストに行き「よりよい買い物」をしようとするのは逆効果になってしまうことが多い。そのため、私はソンリの問題を即座に取り扱おうとはしなかった。
私はまずどのように一年前に症状が出て来たのかを尋ねた。彼女は、中国で故人を追悼するために焼かれている「紙幣」を5年前になくなった父を憶えるために購入していたと話してくれた。
彼女がその紙幣を買いに行ったある日、「魔女」(彼女がその女性を表現するため使っていた言葉)が彼女に話かけ、「あまり買いすぎると病気になるわよ」と注意したと言った。そのため彼女はすぐにその紙幣を返品しようとしたが、店は返品を受け付けてくれなかった。その事件が起きてすぐに彼女は病気にかかった。
私はソンリの父親との関係がどのようなものだったかを尋ねた。彼女は父とはとても仲良く、父は自分のことを大切に育ててくれ、今でも毎日父親のことを考え、自分の息子を見たりする時など、生活の様々な面で父のことを思い出す、と言った。
これを聞く限り5年も経っているのにこんなにも父親にフォーカスをおいているのは何か心の中で解決していないことを意味するのでは、と思ったので彼女にどれほどの頻度で父のことを考えているのかを聞いてみた。
彼女はその質問にはっきりとした答えを出すことが出来ず、父に対して良い感情があるということ以外は、父のことを考えている時どう感じるかも言うことができなかった。
彼女の父に対しての感情はこれからのセッションで探って行くことができるかもしれないが、今はその問題を無理矢理こじ開けようとはせず、彼女が今感じていることを受け止めることが大切だった。このようにしてゲシュタルト法では「抵抗」しているものを無理矢理探っていくことはしないのです。
そのため私はしばらくの間彼女が言ったことを頭の中で反芻していた。
私は「紙幣」と「魔女」と(少しばかり)執拗的な父への想いなど、既に彼女がもっているものを使っていきたかった。
そこで私は今のゲシュタルト法に基づく実験をしてもらうため、彼女に一つの宿題を提案した。
彼女に1枚だけ紙幣を購入してもらうようお願いした。コンピューターには父親の写真が保存されていると言っていたので、毎日同じ時間にその紙幣からほんの少しばかり切り取り、紙幣を焼くときにコンピューターの父親の写真を出して「わたしを祝福してください」とお願いしてから、画像をとじるよう、提示した。
これはセラピーで「症状を取り扱う」と呼ばれており、ゲシュタルト法では「変容の逆説的な理論」と呼ばれるものだ。こうすることにより、今あるものとより同一になることができる。
しかし彼女はこれだけでは足りなかった。それは彼女がこの問題に対しせわしなく解決法を求めていて、あの魔女が紙幣を例えに言っていた「あまり価値のあるものを求めどん欲になるんじゃないよ」と言っていたことをそのまま示していた。
私は彼女が早く解決策を見つけたい、と感じていることを理解していたが、また次回のセッションに取り扱おうと伝えた。
彼女は病気のため有給をとっていたので、いつもどのように一日を過ごしているのかを聞いた。彼女は1日にある8時間ほどの時間で料理をしたり、休んだり、散歩に行ったりしていると行った。
彼女に友人関係での問題はあるかと聞いたところ、それは無い、と彼女は答えた。
私は彼女に父の名前で何かボランティア団体を立ち上げることを提案した。
こうすることにより父の象徴が「病、死、分離」というものから「命」と「結合」へと変わっていき、一日の中で彼女がポジティブに考え、「何かのために」生きて行く理由を与えてくれる。










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