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2015年9月19日土曜日

Case #47 - 「終わり」は新しい始まり

私がこの夫婦に出会った時には、すでにしばらくの間夫婦の仲が悪かったことを知った。
ロンダは開口一番に「私は両親が離婚していたから、自分の家庭には絶対そんなことは無いよう心に決めていた」と言った。彼女は非常に悩んでいる様子で、夫のブライアンが肩に腕をまわそうとすると彼から離れた。
私は二人が向き合って話せるように、彼にロンダの向かい側に座る様お願いした。
その次にロンダの口から出た言葉は「もう終わりよ。もうこれ以上夫婦としてやっていけないわ。」というものだった。
ブライアンはその言葉を聞いてショックを受けた。彼は先程の言葉を今までに何回も聞いていて、ここ数ヶ月変わろうと努力をしていることをロンダに言った。彼は自分がどのように変わってきているかを話し始めたので、私は彼を止めた。ゲシュタルト法では「説明」は「今あるもの」から逃れる方法であると見なされているからだ。なので私はブライアンに、自分が今どのように感じているかをロンダに伝える様促した。私からの励ましを受けて、彼はやっと自分の気持ちを表に出すことができた。ブライアンは自分が今パニック状態に陥っていて、見放されていると感じていることを言い、更には泣き始めてしまった。
ロンダはしばらく座って聞いていたが、無反応だった。私が聞くと彼女は自分が無感情であると打ち明けてくれた。彼女は感情的に圧倒されてしまい、物事に対して「感じる」ことをやめてしまったのだ。クライアントがこのような状況にある時、必要以上のことを求めないよう気をつけなければいけない。
なので、私はブライアンともっと話すことにした。私は、今ロンダは彼と話し合う心の状態には無いことを説明し、それ以上ロンダの心をこじあけようとするのは無意味だということを話した。私はブライアンの感情を受け入れ、彼が自分の心のうちを話せる様励ました。私は彼の感情を受け止め、今彼がいる状況がどんなにか辛いものであるかを共感し、ブライアンが一番必要としているときに奥さんのロンダが心を閉じてしまったことはどんなにか辛いことであろうか、ということを話した。
するとロンダは彼を見て、涙目ながら言った。「あなたのお母さんにも前の奥さんにもこのようなことが起きて、私は絶対にあなたに辛い思いをさせたくないと思ったのに。」
それを聞くとブライアンは号泣し、無口になってしまった。私は彼に、「ほらごらん。ロンダはやっと感情を表すことができてあなたと話せる状態になってきたよ」と言い、今存在し始めた「こころのつながり」をブライアンに教えようとしたが、今は彼にそれを受けとめる余裕は無かった。
ブライアンは自分に罪悪感があること、自分が失敗してしまったということ、そしてこれからもっと頑張りたいということをロンダに言い始めた。しかし、今はロンダにはそれを受けとめる余裕もなかったので、私はブライアンを止めた。
そして私はロンダに、今ブライアンが言ったことを受け止めることができるかと尋ねた。彼女は無表情だったので、私は「今はそれらのことを受け止める余裕は無いわ」と夫に言うよう促した。これはロンダの今の心の状態を考えると正直な言葉だった。
ブライアンはロンダの言葉を聞いてとても辛そうだった。私はブライアンがロンダにそのことを伝えることができるよう、手助けをした。するとロンダは夫の目には怒りと憤りと悲しみがあると言ったので、わたしは彼にそれらの感情ひとつひとつが彼にとってどのようなものかを妻に伝える様言った。
彼女はブライアンの話に耳を傾けたが途中で「これ以上続けないで。あなたがこういう話をするのはとても辛いのが分かっているから、聞いていて自分が悪者のように感じるわ」と言った。
それを聞くとブライアンは心を閉ざしてしまい、完全に殻に閉じこもってしまった。私は彼に今ロンダの状況を受け止めることはできないと言う様に促したが、それさえもブライアンには難しそうだった。なので私はロンダに、私に話しをするように言った。これはカップルセラピーの手段の一つで、もし一人が話しをできる状態にいない場合、その人はただ見て聞いているだけで良いようにカウンセラーがもう一人の話を聞くということだ。ロンダは夫が今の状況(離婚したいということ)を受け入れることができるまで、しばらく待とうと思う、と言った。ブライアンは彼女を愛していて、そう簡単には諦めないと思ったので、彼は絶対にそれは受け入れないだろう、と私は言った。これを聞いてロンダは少しショックを受けたようだった。
なので私はロンダの気持ちや想いをもっと探ることにした。そうしているうちに、ブライアンも話せる状態になったので、ロンダは彼に対してとても申し訳なく思っており、罪悪感があることを言った。ブライアンとロンダは一緒に泣き、ブライアンは彼女に近づこうとしたが、ロンダはそれを拒否し、距離を置いたままにするよう、言った。このことに関して私が探ると、ロンダはもう夫への愛が無いということを言った。しかし私は、それは「愛」というものを感情として捕らえてしまう間違った考えから来ていると言い、変わりに今の想いを言葉にして伝えるよう言った。するとロンダは「私は自分の心を閉ざしてしまったわ」と言った。
ロンダの言葉は意思と決断力を示し、これからの行動や決意へつながっていくものだったが、今はそれらを取り扱う時ではなかった。ただ、この言葉を受け止めることが大切だった。
そこで私はブライアンに今のロンダの言葉を確かに聞いたことを彼女に伝え、また彼女に自分の気持ちを伝える様に言った。彼がそうすると二人とも泣き出した。
すると、急に何かが変わり、絶対無理だと思われる状況で、二人は何とかしてお互い共感できるものを見つけたのだ。二人ともこの情況の中で圧倒されてしまっていたが、私の支えもあり、この失意と悲しみの中で関係を保ち続けることができたのだ。
最終的な結果は私には分からないが、ゲシュタルトでのフォーカスはこのように(二人には今までなかった)人間関係の基盤となる共感点を見つけることだ。


2015年9月2日水曜日

Case #46 - ウジ虫の悪夢

フェリシティは最近見る悪夢について話した。ゲシュタルト法では通常、夢の開示はしないが、大体の悪夢は自分の中の攻撃性を示している。夢というものは、それを見ている人の性格と関連していると考えると、悪夢というものは自分の中の攻撃性を示していることになる
フェリシティは、それぞれ場面は違ったが、何度も同じような悪夢を繰り返し見ていた。大体はこういう夢だった。
彼女は地下室にいて蛆(うじ)を生育していた。蛆は何百匹、何千匹といた。そして、次のシーンでは彼女は蛆を吐いていた。彼女の体は蛆でいっぱいで、ただ一匹を残し全て吐いていた。
さて、この夢を聞く限り、一日中過ごせるほど様々な解釈があるであろう。一番簡単な解釈だと、地下室は心の底にあるものを示していて、蛆はその人の中にある何か「腐った」ものを示している、と言えるであろう。
しかし、ゲシュタルト法ではここまで深く探らない。ただ、その人の体験をそのまま受け取り、その体験がその人にとってどのような意味を示しているかを分かることができるよう、探っていくのである。
私はフェリシティにそれぞれのシーンで出てくる蛆に対してどう感じるかを話すよう促した。彼女は蛆である自分は太っていて、なまけもので、何も出来ない自分を示していると言った。
そして、彼女の体の中に残っていた一匹の蛆は外に出てきたいのだ、ということも言った。
次に私たちは蛆になったつもりで、歩き回った。
私は、「みんなそれぞれ自分の心の中に、他の人に見せたく無い『蛆』がいるのだよ」と彼女に伝えた。
私は具体的な例を挙げて、自分の中にいる蛆について彼女に話した。
このように取り扱いが非常に難しい問題は、セラピストがリードしてあげることが大切だ。
彼女は初めは自分の中にそのような「蛆」が住んでいることを認めたくなかった。彼女はあひる口をして、しょげた顔をしてみた。彼女の表情はまるで、自分は何も隠していない純粋な少女よ、という表情だったので、私はその表情をそっくり返してみせた。そして、「それは心に『蛆』がいる人が見せる表情では無いですよ」と言った。私がこう言ったことにより、彼女は自分が心の問題を認めていないことを自覚しはじめ、自分に正直になることの大切さを感じはじめた。彼女は自分の「蛆」についていくつか例をあげたので、私はそれらが彼女にとってどれほど辛いものであるか、共感を示した。しかし彼女はまた先ほどの「私は何も悪いことはしてません」という顔をしたので、私は今の表情は、彼女がさきほど打ち明けてくれたことを卑下している、と言った。
こうすることにより、私は彼女が自分の問題と直面することを促すことができた。ゲシュタルト法は、いつも「今、私は誰なのか」という『現在』にフォーカスしている。
私はグループの中にいる他の人にも自分の中の「蛆」について話してもらう様お願いしたので、フェリシティは心の闇を持っているのは自分だけでは無いということを理解することができた。また、こうすることにより、皆が自分の心の奥底を打ち明け、お互いの仲が深まり、楽しくセラピーをすることができた。



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