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2015年12月27日日曜日

Case #59 - 愛情を求めている大人

グループセラピーを行っていくなかでトレバーの中の深い悲しみがあらわにされた。
その日、わたしはグループセラピーで遊びをつかいながら、自分の中の「攻撃性」を見つけ出して行くことをクライアントに教えようとしていた。参加者達はペアになり向き合って、手のひらを合わせてお互い押し合った。ルールは簡単で、相手と同じ力で押すということだった。そのため、より力の強い者は自分の力を加減する必要があった。
トレバーはグループの中でも一番力が強い人だった。彼がこのアクティビティをしている最中、つい夢中になり相手を強くおしてしまい、相手の男性は後ろにひっくり返ってしまった。
彼は相手に勝とうとして強く押してしまったので、わたしはこのアクティビティの目的は「競争」ではなく、「相手と同じ立場にたって向き合う」ことだとトレバーに教えた。
すると彼は悲しそうな顔をしてしまった。それはわたしが彼の存在感があまりにも強すぎて他の人々と同じ立場に立って話すのは難しいのではと指摘したため、トレバーが今まで心の奥底にしまっていた感情がいっきに出て来てしまったためだった。
わたしがトレバーに今どのようなことを感じているか聞くと、「腕には怒り、心には悲しみ」と彼は答えた。
そこでわたしはあるアクティビティを提案した。私たちは二人ともたって、わたしは彼と手のひらをあわせ、彼に力強く押しながら腕の中にある怒りを感じ取るようにといった。そして今度は押すのをやめて、自分の心の中の悲しみを感じ取るようにといい、わたしは彼を抱きしめてあげた。そして一連の動作を何回か繰り返した。
このアクティビティをすることにより、彼は怒りを発することと愛されること、両方を体験することができた。同じ動作を繰り返して行くなかで彼は「パパ」といった。それでわたしは彼の両極端な感情は父親との関係からきているものだったということが分かった。しかし、今はその過去を深くほりさげていく必要はなく、ただ今いる中彼との向き合いというものが必要だったのだ。
トレバーは「わたしはずっと師となる人を探していたのです」と言った。なので、わたしは彼が本当に求めているものは誰かに自分を見てもらうことなのだとこたえた。こうすることにより、彼がわたしに一方的にあまえるのではなく、彼自身も物事を変えていくことができるというのを教えたかった。
そして私たちは抱き合い、彼はわたしを地面から持ち上げた。わたしも彼を持ち上げると彼はわたしを抱え、子供の遊びのように何回かわたしを持ち上げたままぐるぐるとまわった。わたしも彼がしたように、同じようにしてあげた。
こうした後、かれは心がとても落ち着いたようだ。おそらく、それはやっと彼の必要としていた愛情をうけとることができたからだ。
もちろん、わたしのように彼を持ち上げたりするのは必ずしも誰もができることではないが、どのような方法を使ったとしても、クライアントが必要としている立場で向き合うことは可能である。そして、この「向き合う」ということこそ、ゲシュタルト法の根本にあるものなのです。


2015年12月16日水曜日

Case #58 - 言葉の向こうにあるもの

クライアントが様々な問題について話す時、その中で一番の「フォーカス」(焦点)を探りだすために、私たちは常に色々なものに耳を傾けていないといけない。
トレバーにとってのフォーカスは今の家族関係と関連していた。彼はとてもスピリチュアルな面があり、過去には僧侶にもなろうと思ったほどだ。彼はバツイチで、現在2回目の結婚をしており、子供もいて、家族はとても大切にしていた。
そのような安定した家族関係にありながら、彼は落ち着きがなかった。彼の現在の家族関係の反対側にあらわれたイメージは「山」というものだった。私たちがこれを探って行く中で分かったのは、トレバーにとって「山」とは自然との一体感、簡素な人生、自然保護、地とのつながり、スピリチュアルなことへの時間を持つ、ということだった。
ゲシュタルト法では、「両極端」に目を向ける様にしている。また、それが「割れて離れていく場合」はもっと注意して見る様にしている。そして、両方に注意を向けて、クライアントがどちらも受け入れることができる方法を見出して行く。
なので、わたしはトレバーの「家族を持つこと」、そして「地への想い」について彼の気持ちを聞き出そうとした。彼は新しく家族を持つことには抵抗を感じていなかったが、どこか心の奥底で満足していなく、落ち着きがないと言った。
彼と話して行く中で、彼は今の人生を選んだ自分と完全に和解できていなく、心の半分は今の人生、もう半分はどこか夢の世界にいるということが分かった。
わたしはトレバーに、自分も過去に同じような経験をしたので、彼の気持ちがよくわかるということを一生懸命伝えようとした。このようにクライアントとのつながりを表す言葉は、「共感性」を示すだけではなく、同じ人間として共有するために重要である。
わたしは自分自身のスピリチュアリティ、自然、家族に対しての想いや、自分が僧侶にはなれないという想いなどを話した。私たちはその後、しばらく深い沈黙の中にいた。そこには言葉で表せない想いがあったからだ。彼は自分で人生の決断をし、その結果このような想いを体験していたので、わたしには彼を助けることはできなかった。それは良いことでも悪いことでもなかった。彼の選んだ人生は痛みを伴うものだったが、満足を与えるものでもあった。その中では得るものもあったし、失うものもあった。そこには問題解決の促進も必要なかったし、誰かに自分の人生を解釈して教えてもらう必要もなかった。
ただ必要なのは、自分の心の中の和解と解決だった。
突然、私たちの心の中で何かスイッチが入ったように、場の雰囲気が変わった。
彼はわたしに「ありがとうございました」と一言お礼をいったのだ。ただ、それで十分だった。
セラピーでは話し合いをし、助け、物事を探るときもあれば、ただあるものをそのまま受け入れる時もある。何かを変えることができないとき、ただ相手と一緒にその場にいる、というのも一つの方法だ。
今回のセッションはとても心の奥深くに語りかけるもので、私たちはそれを感じることができ、トレバーは自分の気持ちを誰かに分かってもらうことができたと感じ、「割れた心」がやっと一つになってきたように感じることができた。

2015年12月8日火曜日

Case #57 - 見方についてほしい

アナベルが話し始めた瞬間からわたしは嫌な気持ちがわいて来た。彼女は明らかに自分中心の「ストーリー」を語りたく、自分がどんなに他の人に嫌な想いをさせられたか、また彼女がどんなにか家族を助けようとしていたか、そのようなことを語りたかったのが分かった。わたしは自分が早く話しを終わらせようとし、彼女の話に耳を傾けたく無い自分がいるのが分かった。彼女はわたしが介入するすきを与えずにただ延々と話し、ただ文句をたらしたかっただけのようだった。
しばらくして、彼女はその「ストーリー」に関してわたしに質問を投げかけてきたりしたが、やはり、わたしは居心地が悪かった。彼女は色々と質問をしたかったようだが、ただわたしを自分の今の状況を解決する専門家にしたてようとしているようだった。
しかし、彼女の希望とは反対に、わたしは自分の考えは何一つ述べなかった。わたしは彼女と対話をし、彼女の質問には答えることはしなかったが、逆にそれを意見文として言い換えるように言った。これはゲシュタルト法ではよく利用される方法だ。それは、質問をするということは責任回避であったり、人との関係の中であらわになるものであるからだ。「意見文」に言い換えることで、自分がどのような者であるのかに対して責任を持ち、自分がどう感じて、どうして欲しいのかをもっとはっきりと伝えることができる。
わたしが何も言わなかったのは、自分の中でも様々な感情が行き来していて、落ち着いてそれが何であるかをその場にいてもっと理解したかったからだ。わたしは自分の気持ちを受け止め、どうしてこのように自分が反応しているのかを理解しようとした。
アナベルが話す度に何度も同じような感情が引き起こされ、それは彼女に質問を意見文へ変える様にと言った時も同じだった。しかしこうしないと彼女の悪循環を止めることができなかったし、わたしは彼女がわたしに差し出していた「偉大なる知恵のある人」という役割を受け入れるようなことはしたくなかった。
しかしこうすることにより彼女の興味をひくことができた。わたしが自分の感情を表す事なく、彼女に自分の体験を振り返らせるよう促したことにより、アナベルは自分の感情に少しずつ向き合いはじめることができた。
わたしが彼女と信頼性について話していると彼女は急に「正直に言っていただきたいのですが、わたしのことをどう思っていますか?」
この質問は私たちの関係を深めることのできる手段であったので、わたしは息をつき、慎重にことをすすめることにした。とても繊細で慎重を要する質問であったが、今までの中でもっともオープンであり彼女がわたしを信頼していることを示しているものであったので、わたしはよい質問であると思った。
わたしは自分の気持ちをしばらく振り返る時間を持つことができていたため、直接彼女に対してではなく、自分の(彼女との対話の中での)体験に関して話すことができた。
そこで、わたしはこう言った。「あなたが話す度に、あなたの見方になってほしい、と言われているような気がします。わたしはあなたに同意し、あなたがどのように家族を見ているかやあなたがどのように家族から扱われていたかということに賛成して同意したい。でも、わたしはあなたのことを拒否したくもなければ、あなたのチームに加わりたくもないので、居心地がとても悪い。」
こうすることにより、わたしは自分の体験を正直に述べると同時に、彼女に応答する余地を与えることができた。こう答えることは彼女を侮辱する言葉ではなかったし、重要なフィードバックでもあった。アナベルはにこっと笑い、言った。「ありがとうございます。今まで他の人もわたしに同じようなことを言っていたのですが、あなたほどはっきり言ってくれた人はいませんでした。今言われたことがどのようなことか、わたしも自分で理解しています。わたしは無意識のうちに、他の人を自分の見方につけようとしていると自分でも感じているのです。」
そして、私たちは今まで以上にお互い素直になり話すことができた。わたしは「敵・見方を作る」のは楽しいことでもあり得ると言い、子供達もよく遊びのなかで見方や敵を作って遊んでいることを彼女に気づかせた。わたしたちは他にも色々なことを話し合い、アナベルの緊張が和らいでくるのが見えた。そして、わたし自身もやわらいできたのだった。わたしは自分の心の体験を言葉に出すことにより、心の状態が変わってきたし、彼女は「誰かに見てもらう」ことを体験することができた。
ゲシュタルト法はこのような "I-Thou"(わたしとあなた)の体験を求めていて、クライアントの人間関係を深める基礎である。


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