
わたしは上の立場にいて、「力を」持つというのはどのような事かを彼女に話した。それは事務的ではっきりと物事を言い、物事をコントロールすることができる快感があり、常に自分がボスでいれる、ということだった。
わたしがこれらのことを話している最中に彼女は手をこまねいていて、小さい女の子のようだった。わたしは彼女に自分が心の年齢を聞くと、彼女は「10歳」と答えた。なので、わたしは彼女に10歳の時に何が起こったかを聞いた。
更にわたしは彼女の家族の中での「忍耐、がまん」がどのように表れているかを聞いてみた。ウェンディの父親は彼女が10歳の時に学校の成績が下がっているからと言い、彼女を叩いたのだった。また、父はよく弟にも暴力をふるっていた。しかし公では彼はとてもおちついていて、他の人のために時間を作れるような人だった。
彼女の父がそのような人だったので「もしかしたらわたしが落ち着いて忍耐強く聞いているのを見て、父親のようにいつ爆発するのでは、とびくびくしているのでは無いですか?」と聞くと、彼女はうなずいた。
彼女は自分は男性を信じることができないことが問題だと言った。最初の夫もまた彼女に対してすぐ怒る人で、彼女が彼のご機嫌取りをすることにしか興味がなかった。彼女は、今はただ新しいパートナーを見つけたいということを言った。
彼女は自分の成績が下がったのは全寮制の学校に言っているときにとてもひどくいじめられたからだったと言った。しかし彼女の両親はそんなことは知らなかったし、彼らにとってはそのようなことはどうでもよかった。だから、彼女は子供の頃に孤独を覚えていたのだ。わたしは彼女に近寄りながら、彼女がとても繊細であり、弱い者であるということを語りかけ、心の中の子供である彼女は誰かのアジェンダの一部として生きるのではなく、彼女自身として見てもらう必要があることを語りかけた。彼女が必要としているのは、ただよい結果を求めている人ではなく、彼女の苦しみを分かってくれる人だった。
彼女は今まで背負っていたものがとれていき、次第に泣き始めた。わたしは、彼女がいかに大切な人であるかを話し、誰のアジェンダにも左右される必要は無いということを話した。彼女はこのように誰かに見てもらうことを心の底から必要としていたようで、私たちはしばらく、ただそこに座り、わたしは彼女にこの大切な時間を味わうよう促した。
彼女が誰かとまた新しい関係を歩む前に、自分の心のケアと成長が必要だということをわたしは指摘した。
ゲシュタルト法ではただクライアントの目の前にある問題だけにフォーカスするのではない---セラピストがそれ以上に見えてくるものを発見ことが大事なのだ--時たまそれはクライアントが全く意識していないことでもある。セラピストがその表面下にあるものを見つけたら、次はそれをクライアントの目の前に持って来て、どうしてそれが問題となっているか、その背景を調べることだ。大体は家族と関係していることだが、必ずしもそうではない。そうしてから、そのフィールド(クライアントに関係する背景)を現在の問題と照らし合わせ、セラピーの中で取り扱っていく。
こうすることにより明確なセラピーのゴールが見えてくる。今回の場合、ウェンディがはじめに言っていた、「新しい人生のパートナーを見つけたい」ということにあたる。