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2016年3月8日火曜日

Case #67 - 古風な結婚生活か、それとも「今風」の結婚生活か

ハンとユエンは婚約をしていて、彼女は35歳、彼は43歳だった。彼らは二人で解決できない意見のぶつかりあいがあり、私のところに来たのだった。それは、ハンは結婚した後も母親が一緒に住むことを希望していたのだが、ユエンはそれに絶対反対していたからだ。
私は二人のことをもう少し詳しく聞いてから、結婚にあたり一番心配なことは何か、と聞くと二人ともこの問題が一番大きな心配ごとだと答えた。
しかし、彼らは結婚にあたり他にも色々と話し合っていないことがあるのがわかった。そのため私はひとまず今の問題はおき、もう少し広い範囲で物事を見てみよう、と提案した。まず、二人が中国でよくある古風な結婚をどれだけ重視しているか見るため、あるアクティビティを提案した。それは、ひとつの端はかなり伝統的な結婚スタイル、もうひとつの端は今風の結婚スタイルとし、二人がその中でどのように結婚を考えているか判断するものだった。ハンは70%「とても古風な結婚スタイル」で、ユエンはその逆で70%「今風の結婚スタイル」という考えだった。
となると、彼らの間には今の問題よりももっと根本的な問題があり、これからもお互いの考え方の違いによりこれから大きな問題になる可能性はありゆるということを言った。私は彼らに自分の結婚に対する思いを短く述べてもらうことにした。ハンは相手の家族とうまくいくことだった。また彼はユエンには「優しく、女性らしいやわらかさを持っていてほしい」と言った。ユエンは二人が家族から離れ、夫婦としての新しい人生を歩みだすことだったし、彼女は家族にとやかく言われるのではなく、自分で物事を決めていきたいといった。
そこで私は二人に、まず「私の思っていることとあなたの意見は違うから、色々と難しいね。」と言うように促した。こうすることにより、まずはお互いに違いがあることを認めることができるからだ。ハンは最後に「そして君が変わってくれることを願うよ。」と付け足そうとしたが、私は彼をとめた。男女の間でよくある問題は、相手がいずれ変わってくれることを願っているということだった。
なので今度は別の言い方をしてもらった。それは「私たちの間には考え方の違いがあり、私はあなたの考え方に賛成しないかもしれない。でもあなたの立場を尊重する」と。
この言葉は二人ともなかなか言えなく、とくにユエンはこう言うことにより自分の考え方をまったく変えないといけないかのように思ってしまい、なかなか言いたくなかった。しかし、私が「尊重する」というのは相手の考えに屈するということでは無いと説明すると、彼女はやっとその言葉を発することができた。これらの言葉を発しながら、二人とも自分の心の底にある思いがわきでてきた。彼らは相手を変えようと努力するのではなく、ただ相手をそのまま受け入れないといけなかったのだ。このことはいつも男女の間では大きな問題になっている。
しかし、私はユエンが古風な結婚生活を嫌がるのもわからないことはなかった。彼女は家を自分たちだけの住まいにすることに執着していただけではなく、まだ男尊女卑が残る社会でのゆえ、伝統的な考えを持つハンの家族の中で生活し押しつぶされてしまうのが怖かったのだ。
そこで私はジョン・ゴットマン氏の結婚生活に関しての研究結果についてハンに話した。それは男性が奥さんの意見を聞く結婚生活のほうがうまくいっている、という研究結果だった。理由は、一般的な社会生活の中で男性のほうが女性より権利があるからである。
そして私は彼らがこの問題においてお互い同意できる解決策を見つけられるよう、話し合いを促した。確かに物事によってはどちらか選択しないといけないが、クリエイティブな解決策を探しもとめることができる物事もある。
ユエンは最低限、夜は二人だけがいいと言った。
ハンの母親は今までも下の階にある部屋を仕事部屋として使用していたので、昼の間だけ母が来るのはどうか、と提案した。
私は彼女がどう答えるか待った。ユエンは、たまに両親が夕飯に食事にきても構わないが、週末は基本的に二人きりがいいと言った。
ハンはかたい契約書のように色々なルールを作るのはいやだ、と言った。しかし私はお互い同意するためにはしっかりとした境界線を定めるのが重要であることを伝えた。なので二人はしばらくの間話し合い、やっと同意することができた。
なのにハンは急に暗い顔をした。話し合いは案外うまくいき、今までお互い懸念していたことも話し合うことができ、やっと意見をあわせることができたのだ。
なのに、ハンは「どうやって母さんに説明すればいいんだ」と急に言い出した。彼はふたつの大切なものの間に挟まれていて、どうすればいいかわからなかった。
ユエンも泣き出し悲嘆に暮れ始めた。彼女はハンがもとの考えにもどってしまい、古風な考えをまたおしつけてくるのではないかと心配しはじめた。そして彼に文句をいいはじめた。
私は文句を言い始めた彼女をとめて、彼の表情を見るようにと言った。彼女は怒りと恐怖でいっぱいいっぱいだったので、彼を見つめることがなかなかできなかった。両人ともが苦痛の中にいる時は、自分の思いをいったんおき、相手のことを考えるというのは非常に難しいことだ。
ハンは自分の家族に対しての義務感とフィアンセを一番にしたいという二つのものを目の前にし、なんとかしようともがいていたので、セラピーに行く事を提案し、彼よりも心理学的な知識があったユエンに、私はあえてこのようにするよう言った。また彼女が彼を見つめ、彼が今どのような表情をしているかしっかりと見ることができるよう、彼女に集中し、アドバイスをした。私はユエンに、今起こっていることに全神経を向け、彼が今経験している悩みを感じとるようにと言った。それは彼女にとっては非常に難しいことだったが、私は彼女を励まし続けた。私は「愛」という言葉を出し、「あたは彼が今とても悩んでいるということを分かってあげることはできますか?違いがあったとしても、ただ彼をその悩みも一緒に、彼であるからこそ愛することはできますか?」と言った。
彼女はその時自分の恐れを手放すことができ、心に大きな変化が起きた。そして「私たちは必ずしも同じ考えを持っているわけではないけど、あなたを愛するという決断は絶対に忘れないわ」と言った。この瞬間、ふたりの間に深い絆がうまれ、私も思わず感動して涙してしまった。彼らはこの問題を二人で通り抜けることができ、またそれを通してお互いの愛を深めるだけでなく、愛の許容範囲を大きく広げることができた。二人とも自分にとって未知の世界へと飛び込み、そして最後には「新しいところ」へ到達することができたのだ。
私はこれからも二人は様々な問題にぶつかることがあるだろう、と言ったが、これからはどのようにその問題に向き合っていったらいいか心得ているので大丈夫だと言った。
ゲシュタルト法では二つのものがどこかで交わり合うものとして、「違い」という要素に目を向けている。この「違い」の中で接点を見つけるためには自分自身のセルフサポートと相手に対しての興味が必要となってくる。ほとんどの人にとってこれは難しいことで、彼らがこのようにするためにはセラピストなどのサポートが必要となる。このサポートは「具体的にどうするか」という「実践的」なサポートと、その人の心をどう扱うかという「感情」のサポートが必要となってくる。「相違」に直面するということはなかなか難しいことで、怒りを感じたり、怒りや恐怖のなかでふるえる人もいる。今回の場合、ユエンが今起こっていることの中でハンを見つめ、彼を受け入れることができたため、不可能と思われる状況を変えることができたのだ。

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