
私は彼女とのカウンセリングをすすめる前に、彼女が私を見る時鋭い目つきで見ていて、それがかなり印象的であることを伝えた。更に、彼女に「私とあなたの元旦那さんの共通点は男性だということで、あなたが彼に対して感じていることが私にも向けられている気がします」と伝えた。
私がなぜカウンセリングを受けに来たのかという問いに彼女は「怒りがあるから」と答えた。
私は彼女が何に対し怒っているのかを聞いたところ、マリオンは自分の今までの境遇を長々と話し始めた。私がまた少し経って「あなたのおっしゃることは分かりました。でもあなたは本当は何に対して怒りを持っているのですか」と聞いたら、また長々と彼女の今までの話しをしはじめた。
私は彼女からはっきりとした答えをもらえるまで何回か同じ質問を繰り返した。彼女はやっと、元夫が自分のビジネスのために彼女を経済的に支えることをやめ、その事で彼に裏切られたと感じ、怒りを覚えていると言った。また彼がお金の使い道に関して彼女だけで無く一緒に住んでいた彼女の両親にも嘘をついたため怒りを覚えていると言った。
私は彼女に「ええ、今あなたが怒りを感じているのは目を見れば分かります。そこで聞きたいのですが今、あなたはどのような想い(感情)を抱いているのですか?」と質問しました。
すると彼女は自分の想いというよりも、元夫に対しての判断や所見、彼に対しての意見などを私に話した。
ただ、彼女は「わたしは自分の気持ちを抑えている」とも打ち明けてくれた。
そこで私は彼女に「私が元夫だと思ってその感情をぶつけてみてください」と言った。すると彼女は自分も以前の状況の中で悪かったことなどを話し始めた。
私はもう一度彼女のフォーカスを戻し、始めに「私は...に対して怒っている。。。」という言葉から始め、私に直接怒りをぶつけるようにと彼女に伝えた。
そして、やっと彼女は自分の気持ちを表現することができ、彼女が何に対して怒っているのか言葉に出すことが出来た。私は彼女の気持ちを汲み取り、彼女が怒りを持っているのはもっともで、彼女がどうして怒るのか分かる、ということを伝えた。そして、彼女が自分の怒りを表現するうちに涙も出てきて、彼女の痛みが伝わってきた。
私は、彼女にこのように自分の気持ちを正直にぶつけ続けることを勧め、彼女はそうするうちに怒っては涙を流し、泣いては怒りをぶつけてくることができた。
又、彼女は自分が聞いてもらえることを理解するにつれ、自分に自信を持ち、自分の気持ちを素直に表現することができた。その中で、彼女が自分の気持ちを振り返り無言になり、ただ私がうなずいている時もあった。
セッションが終わる頃には彼女の心はとても軽くなり、今まで離婚後抱えていた痛みと怒りを外に出すことができていた。
彼女は自分自身の感情に押しつぶされない様に長々と自分の体験を話していたが、私はこのプロセスが上手くいくために、彼女を常に自分の感情にフォーカスさせ、この体験を通してどのように感じているかを理解させ、彼女の体験に自分もロールプレーをして入る必要があった。私は彼女に人間関係による怒りを真正面からぶつける機会を与え、彼女が自分の心のうちを上手く表現できるようサポートし励ましてあげた。それをうまくできるまでは少し時間がかかった。また、私は彼女が自分の感情と向き合うのを回避しようとしているのが分かっていたので、彼女が自分が体験したことや感じたことと向き合える様助けてあげた。
また、彼女の話を聞きながらわたしは頷き、彼女の話に耳を傾けた...それは彼女がずっと求めていたことであり、彼女は今までずっと誰かに自分のことを見てほしい、聞いてほしい、と思っていたのだ。私は彼女の元夫では無かったが、彼女が満足を得るには十分な「代理」だった。又、私が男性だということは彼女の中の怒りを掻き立てるには十分であったし、私の彼女に対する受容性(彼女の話しを受け入れる態度)はただ演技をしているだけでは無いということを彼女は感じることができた。
特にこのセッションを通して注目したいのは、彼女が怒鳴ったり、叫んだり、枕を叩いたり、声を張り上げたりしなかったことだ。怒りというものはその人がどのように人との関係で用いるか、また自分がどのように自分の怒りに対し対応するかによって変わり、必ずしも感情表現をするドラマチックなセラピーを通してではない。