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2015年6月5日金曜日

Case #38 - 何をしても失敗する女性

ジェマは挫折というものを恐れていた。彼女は何をしても失敗したのだ。一つの会社では5回も事故をおこし、他の会社では計算ミスをしたり、等々、彼女は自分が失敗ばかりしている話を延々と続けた。私は彼女の話を聞きながら、少し身構えた。彼女は延々と失敗談を語り、泣き崩れ、私は彼女と何時間いたとしても、何の解決も見出せないような気がした。彼女は両親との問題についても話し始めた。それは、彼女は両親の家を出た後のことだったが、彼女は両親に対して非常な怒りを持っており、特に父親の言動に信頼を失っていた。彼女は明らかに助けを求めていたが、その自暴自棄な姿を見て、私は逃げたくなった。
なので、私は問題の中に私自身が入っていく必要を感じ、彼女に「ではまずあなたの挫折という問題を取り扱いましょう」と言った。まずはじめに、あなたは既に私もその挫折感に巻き込んでいる、あなたの話し方は私に影響を与えている、と伝えた。彼女はうなずき、今まで他の人も同じようなリアクションだったと語った。自暴自棄になっている人を助けるためには、その人の話を延々と聞くのではなく、その人自身の問題を露(あらわ)にすることが大切だ。そのためにはまず、その人が自暴自棄であるが故に、他の人との関係にどのような影響を表しているかを明らかにすることだ。
私はジェマにあるゲームを提案した。それは私が彼女にどう反応しているかを彼女があてて、その後、彼女が当たっているかどうかを教えてあげる、というゲームだった。彼女は、私が彼女に対して忍耐強く我慢している、とまず最初に言ってみた。私は「いいえ」と彼女に答えた。彼女は更に私が彼女に同情している、と言ってみた。「それも違う」と私は答えた。
そして、私は彼女に「私はあなたに対してイライラしています。」と正直に教えてあげた。
更に、「私が感じているそのイライラの気持ちはどのようなものか考えてみてくれませんか」と彼女に言った。彼女は、私が自分の気持ちを抑えていると思うと、言った。なので、私はそれは半分くらいしか当たっていないということを言った。また更に彼女は私が胃や胸がむかむかしているのでは、と言ってみた。
なので私は彼女に本当のことを伝えた。それは、私は彼女に対し怒りを持っており、その怒りが胸を締め付けているような感じだと。
私はジェマが自分を悲劇のヒロインにしたり、自分の人生は挫折ばかりと思っている思考傾向を変えるため、このやりとりを彼女としたのだ。彼女に、辛い思いをしているのは彼女だけでは無いということを教えたかったのだ。私にとっても辛い、ということを彼女に知ってもらいたかった。またジェマが人々(特に父親)に対して偏執を持っていたのも分かっていたので、彼女がひとり心の中で相手の気持ちを探り当てるよりも、誰かがはっきりと教えてあげたほうがいいと思ったのだ。
次にわたしたちは役割を交代してロールプレイングをした。私が彼女のようになり、彼女は私の立場になったので、私は悲しく、落胆し、何をしても失敗をする人を演じ、今度は彼女が怒る番だった。
彼女は逆の立場になってみて初めて、自分が親の様に説教したり、どなったり、批判したり、けなしたり、良い結果を出す様プレッシャーを与えたりする者であることに気づいた。
このような考えは、彼女を今一度一方的な考えから引き出し、もっと広い範囲で物事が見えるようにしたので彼女にとって良い体験だった。
それから、私は彼女にある例えで説明した。それは、彼女が「怒る」という役職のために私をリクルートし、私はあまりにも仕事が上手くできたため、彼女の話を聞きはじめてすぐに怒りを感じ始めることができたという例えだった。また、私自身も、ある意味嗜虐的でこのロールプレイングに同意する自分がいた。
私は、このゲームは二人いるからこそ成り立つ物だと彼女に言った。彼女は、このゲームで怒っている方の役割をする時に、昔祖父母に与えられていたプレッシャーも感じていたと私に打ち明けた。
こうすることにより、私は彼女が物事に対しどのように感じるのかを見る事ができた。
私は更にもう一つのロールプレイングを与えた。それにはある筋書きとキャラクターが書いてあり、彼女にそれを自分の人生の人々に当てはめて再現してもらうようお願いした。彼女はそのロールプレイもやった。こうする事によりなぜ彼女がこんなにも挫折の概念にとらわれているのか、全体像を見る事ができた。
このロールプレイをしてから、彼女に自分の人生での人々にキャラクターが似ている有名な劇を選び、説明するよう促した。彼女が選んだストーリーは今まで私と話していた状況と全く同じようなものだった。
更に、もうひとつ違うストーリーを選ぶ様彼女に言った。それは劇でも映画でも良かったが、私はもっと広いジャンルでロールプレイをできるようこのように彼女にお願いしたのだ。すると彼女はハリーポッターを選んだ。私が彼女がどのキャラクターになりたいかを聞いたところ、彼女はハリー、と答えた。
わたしは「ハリーが見る様に私を見て下さい」と彼女に言った。それは、今までのロールプレイの中で、彼女は目を通して自分が被害者だということを訴えていたからだ。
彼女はハリーになりすまし、わたしたちはハリーポッターの映画の色々な場面について話しあった。ハリーのキャラクター性(誰にも殺されることができない等)を見て行く中で、彼女はハリーとしての自分を通して、自己確立をすることができた。
彼女は自分のアイデンティティが少しずつ変わるのを感じたし、私も彼女が変わっていくのを感じる事ができた。
このプロセスを踏むためには、私が彼女に対しオープンで、正直であることが大事だった。私は彼女の人間関係を取り扱い、色々なことを試し、最後に彼女を大きく変えるものを見つけることが出来た。しかし、そこに至るまでは、その前のプロセスも全て必要であったのだ。










2015年5月26日火曜日

Case #37 - 「刺す槍」と「守る槍」

セリアは見た目から30代だと思ったが、彼女は実際は51歳で子供もいた。私がびっくりしたのは彼女の波乱万丈の人生にも関わらず、彼女はとても落ち着いた表情をしていて、恐らくそこから彼女の若々しさが出ているのだろう、と察した。
私はこれらのことを深く探る余裕はその時にはなかったが、今後彼女のセラピーに活かせると思い、覚えておくことにした。クライアントと会ってすぐの印象を自己分析するのは、とても大切なことだ。例えそれが顔なじみのクライアントでも、毎回「新しい目」でクライアントを見ることによって話している中で今までの話と今話していることが噛み合わなかったり、セラピーの上で重要な役割を示す可能性があるからだ。
セリアが抱えていた問題は、10年来トレーニングしてきたソーシャルワーカーとしての仕事を始めるのが怖い、ということだった。彼女はずっと福祉関係で働いており、やっと子供達が自立したので、ソーシャルワーカーとしての仕事を始めようというのだった。セリアは仕事を始める上で既に周りのソーシャルワーカーに支えられていたので、私はセリアの自己評価や仕事に対する恐れの原因を分析するよりも彼女が今置かれている状況を知りたかった。
彼女の話を聞いていくうちに、彼女が抱えている問題が分かった。それは、もし彼女がこのようなに本格的に仕事を始めるようになったら、夫が離婚すると言い出したことだった。私は彼女の夫の反応は少し過剰だと思ったが、男尊女卑の文化の中では彼女の夫のリアクションはそれほどびっくりするものではないのだろう。ただ、セリアとのセッションをすすめていくうちに、彼女がもう何十年も夫からの虐待を受けていることも知った。
セリアはここ10年ソーシャルワーカーの勉強をしていたのだから、なぜこの問題がもっと早く取り扱われていないのかに疑問を持った。もしかしたら彼女の教師達も何もしようとしなかったのかもしれない。
セラピーをすすめていく中で、クライアントの心(気持ち)を取り扱うだけで無く、そのクライアントが置かれている状況を把握することはとても大切だ。クライアントが現在虐待を受けている場合は、特に重要であり、それをセラピーで重点的に取り扱う必要がある。
そのため、私は彼女の真の心の問題である「恐怖」を取り扱うまで、他の問題は取り扱わないことにした。彼女は暴力は最近まで続いていたと言った。
私はこのように彼女に私自身の想いを伝えた。私は彼女に心を開いており、彼女の抱えている問題の深刻さを受け止めており、彼女の支えになってあげたいが、同時に彼女の気持ちも尊重しており、あまりずけずけと彼女の心の中に入ろうとせず、慎重にセラピーをすすめて行きたいということを正直に伝えた。
私が「恐怖というのは、家族の一員のようなものになっていませんか。」と聞くと、彼女はうなずいた。私は彼女の抱いている恐怖を人に例えて表すようにお願いした。彼女が描写した「恐怖」は黒い服を着ていて、大きな目をしていて、微笑していて、やりを持っていた。彼女はその「恐怖」を「気味が悪い」と言った。
私は彼女が「恐怖」というものをしっかりつかみとることができるように、「『恐怖』はどのような服を着ているか」など、より具体的な質問をした。その後、彼女にゲシュタルトのある心理テストをするようにお願いした。それは彼女自身が「恐怖」になり、やりを持ち大きな目をして立っている「恐怖」がどのようなものかを表してもらうことだった。
彼女は「恐怖」を表し、私も、私の描いている「恐怖」の立ち振る舞いを同じようにやってみた。このような心理テストをクライアントとやることは、セラピーの中でとても役に立つことがある。
「恐怖」をお互い表現した後、私は彼女にまた座ってもらうようにお願いした。『恐怖」を言葉で説明したり、それになってみること自体は大変なことだったので、あまりそれに時間を費やしたくなかったからだ。
彼女は、このプロセスを通して私が彼女に多くのことをしてあげたように感じており、これ以上何かをしてもらうのは悪いと言い始めた。彼女は、ずっと「男性のご機嫌取り」をするよう教わってきたので、それに対して子供の頃は反抗したが、彼女の一部になっていた。なので、私が彼女を助けるためのプロセスをしていくなかで、彼女も私に何かお返しをしないといけないように感じたのだ。
そのため、私は一度セラピーを中断し、「私はあなたと共にここにいて、心を開いていますから、あなたが私にお返ししたいものは何かを教えてください」と言った。わたしたちはしばらく沈黙の中に座っていた。そして、セリアは口を開いて私に、セラピーを通して助けてくれたことに対し感謝を捧げたい、と言った。
この事を言った後、彼女は私と共にいることに今一度安心感を覚え、次のステップをすすむ準備ができた。クライアントが今体験していることに心の耳を傾け、その時その時にクライアントにどのような心の変動が起こっているかを理解し、クライアントに合わせてセラピーを進めることは、非常に重要です。
そして、私はセリアに「恐怖は今どこにいますか」と聞いたら、彼女自身の中にいる、と答えた。そして、槍が彼女の脳みそを突いていて痛い、ということを教えてくれた。
すると、私は彼女が直面している痛みを受け止め、彼女が経験している痛みが私をとても悲しませている、ということを伝えた。私は彼女を助けたかったし、彼女を守りたかったが、どうすればいいか分からない、ということを伝えた。そのような言葉に彼女は感動したようで、わたしたちはしばらくのうち静かに座って、お互いの心の繋がりを感じていた。この心の繋がりが重要である---それは、自分のことを思いやって、一緒にいてくれて、守ろうとしていて、尚かつ「物事を直す」のに早とちりでない、そのような存在である。
この繋がりは「あなたとわたし」という二人の人が繋がっている時である。私はセラピストであり、彼女はクライアントであったが、同時にわたしたちは一緒に座って共に痛みを共有している二人の人間でもあった。私は彼女の痛みを真剣に受け止めていた。私は、ただ実験のためや恐怖を形で表すためのセラピーではなく、彼女の恐怖は何年もの虐待によって積み重ねられたものであるのを理解していたからだ。
わたしたちは、この場所で共に時間を共有し、お互い心を開くことができた。私は、とても心が動かされたし、彼女も同様だった。わたしたちはこのことをお互いに伝えた。
すると、私は彼女に「私も槍を持っています。それは守りの槍です。」と言った。 私は彼女に私と、私が持っている守りの槍の存在を心に受け入れる様に促した。
彼女はこのことをとても容易くすることができ、同時に涙も出て来た。彼女はほっと安心し、誰かが彼女のことを思いやっていることを感じることが出来た。
この動作は「セルフオブジェクト」と呼ばれる。私のことを心に受け入れるということは、彼女は自分の意思を持って何かをすることができる、ということを意味していた。今までの人生では、彼女はまわりの男性のために何かをしていたので、これは彼女にとって重要なことだった。
今回のセラピーではたくさんのことをセラピーとしてしなかったが、彼女を大きく変えるものだった。最後に私はセリアに、これから彼女がしたい仕事に対して「恐怖」という存在は今どこにいるのかを聞いた。彼女は、もう「恐怖」には脅かされないわ、と答えた。「離婚をすることになっても?」と私が聞くと、離婚をすることになっても、と彼女は答えた。以上述べたセリアとのセラピーは虐待後のセラピーの一部分に過ぎない。彼女はまた虐待のサイクルに戻ってしまう可能性もあるので、私はよく注意して見ておかないといけないし、専門家であり人を思いやる者として、そのサイクルの一部にならないように注意したい。



2015年5月6日水曜日

Case #36 - 無感覚だった女性

ブレンダは自分のアイデンティティが明確で無いということで悩んでいた。彼女は他人との間に適切な境界線を作れないということと、相手にいつも調子を合わせてしまうということで悩んでいた。
また彼女は内向的で、あまり写真を撮られたり注目を浴びたりすることを好まないということから、私は人前にさらされること(恥辱)に対し何か心の問題を抱えていることを察し、セラピーを行う上でいつも以上に注意し、彼女の心の動きに対し敏感にならないといけないことを判断した。
私はブレンダに、あなたが話したい以上には話す必要は無いのだよ、ということをはじめに伝えた。
わたしたちはグループの中にいたので、私は彼女にグループの中にいることに対しどう思うかを聞いた。彼女は、グループの人達が彼女を見てはいるが、彼女は皆に視られている感じがしない、と答えた。その答えに対し、わたしは「それは皆がまだあなたの事をあまり知らないからですか?それともあなたが皆から隠れているからですか?」と聞くと、彼女は「どっちも」と答えた。
このようなことを聞く事は、彼女の人間関係を分析することに役立った。なので、私は更に問いただした。「私があなたを視ている時もあなたは私から隠れているのですか?」彼女は「はい」と答えた。
彼女は人に見て欲しい反面、人には見られたく無いという心の行き詰まりの状態にあった。そのため、私は彼女との対話を注意深くすすめないと、自分自身がこれを直そうとするあまりおかしくなってしまうことを懸念した。
こうして私は彼女の心を無理矢理探ろうとするのでは無く、彼女が既に自分自身について言っていたことを反芻した。例えば、ブレンダが自分自身についてシェアしてくれたことや、私が彼女に関して見えているものを---例えば彼女の着ている服の色など---そのまま彼女に伝えた。
こうする事によりわたしたちの間に関係性がうまれた。私は彼女に色々と聞くのではなく、私は彼女が心を開いてくれる時、彼女と共にいて、彼女に耳を傾けている事を行動で表した。羞恥心がある人(セルフエスティームが低い人)の場合、まわりがその人のことを色々と引き出そうとするよりも、クライアント自身が自分のことをシェアする機会を与えることが大切だと思う。
彼女の目はそれでも遠くを見ている感じだったので、私は彼女にそのことを伝えた。彼女が遠くを見始めたということは、彼女がこのような人との触れ合いをまだ受け止めるまでに行っていないことを明らかにした。私が彼女に何を見ているのかと聞くと、彼女は「沢山の世界が混じっていて、たくさんの過去の人生がある場所」と言った。
彼女のこのような状態を見て私は彼女が分離を経験していることを察し、彼女が危ない状況にあることを察した。そこで、私は彼女が見ている遠い場所に居続けていいということと、私自身やグループの皆もここで座って皆彼女と同じ場所に行く事ができる、ということを話した。
私の言葉は彼女を更に別の世界へ行く事を励まし、彼女はよりいっそう「遠い世界」に浸り始めた。このような心理学方法はゲシュタルト心理で変化のパラドックスと呼ばれ、クライアントをあるがままにさせ、既にあるものに自分を近づける方法である。
彼女は「今は何も感じないわ。」と言った。
別の言葉で彼女の今の状態を表すと、彼女は完全に分離したのだ。分離した状態では、特定の方法でしかクライアントと会話することができない。
私は彼女に、あなたがより安全を感じるためには私には何ができますか、と聞いた。その問いに彼女は「誰にも見られたくないの」と答えた。
私は彼女に言われたことに従った。しかし同時に悲しみも感じる、ということをブレンダに伝えた。それは、私は彼女を全く見ていないく、見ようともしない努力をしないといけないため、彼女は完全に私から隠れている状態になるからだ。私は彼女の暖かさを感じることは出来たが、彼女へ手を差し伸べる方法を見つけることができないと伝えた。
するとブレンダは私をみつめ、「私は人の助けを借りるのは好きじゃないのよ」と言った。
ブレンダのこの言動は、私に次にどうするべきかのヒントを与えてくれた。
私はある実験を提案した。それは、彼女が両手を挙げて、片手はひとを押し出すしぐさをし、もう片方は人の助けを借りられる状態にし、手を開いておくということだった。こうすることにより、ブレンダは私の支えを受け入れることができた。私がゆっくり手を伸ばすと彼女は空いているほうの手で私の手を握ってくれた。
彼女は更に「私には感覚をもたらせない見えない力が働いている」と言った。私はグループの一人にわたしたちの前に立ってその「見えない力」を表してもらうようお願いした。彼女はその人の名前は匿名であることを希望した。
「見えない力」を表している人に対し、私は彼女にその力に対しある宣言をするように言った。彼女は「見えない力」に対し「私はあなたが私に役立つ時はあなたに耳を傾けるけど、それ以外の時は私は人の支えを感じることができるようにするわ」と言った。
この宣言はブレンダにとって識別性と統合性を表した。
彼女がこう宣言することにより、物事に対する感覚が戻り、人からの支えを受けることができ、人間関係を築くことができ、自分の存在感を感じ、人生で物事を選択する権利があるということを感じはじめることが出来た。
ブレンダとのセラピーはとっても時間がかかり、常に彼女の境界線に注意し、あまり深入りしないように注意し、彼女が感じていることさえもあまり聞かない様注意する、とても大変なものだったが私は絶対にあきらめなかった。通常、ブレンダのようにあまり心を開かない人に対し、人々はあまり深入りをしないようにしたり、表面だけでの関係を持とうとしたり、たまにはその人に過剰に興味を示したり優しくしたりすることによって圧倒させてしまいます。ブレンダのような人々に必要なのは暖かさはあるが、圧倒するほどのものでは無く、興味を持ってくれるが本人を圧倒させるほどのものでは無い、中立した関係です。これは順応性と呼ばれ、人間関係の中では重要なスキルの一つにはいります。

2015年4月29日水曜日

Case #35 - 元旦那に対しての怒り

マリオンは離婚後、元夫と親権について同意できずにいた。しかし、彼女と話すなかで、彼女が抱えている問題はただそれだけではないことが明らかになってきた。彼女の抱えている問題は元夫への不満と未解決の心の問題などであった。
私は彼女とのカウンセリングをすすめる前に、彼女が私を見る時鋭い目つきで見ていて、それがかなり印象的であることを伝えた。更に、彼女に「私とあなたの元旦那さんの共通点は男性だということで、あなたが彼に対して感じていることが私にも向けられている気がします」と伝えた。
私がなぜカウンセリングを受けに来たのかという問いに彼女は「怒りがあるから」と答えた。
私は彼女が何に対し怒っているのかを聞いたところ、マリオンは自分の今までの境遇を長々と話し始めた。私がまた少し経って「あなたのおっしゃることは分かりました。でもあなたは本当は何に対して怒りを持っているのですか」と聞いたら、また長々と彼女の今までの話しをしはじめた。
私は彼女からはっきりとした答えをもらえるまで何回か同じ質問を繰り返した。彼女はやっと、元夫が自分のビジネスのために彼女を経済的に支えることをやめ、その事で彼に裏切られたと感じ、怒りを覚えていると言った。また彼がお金の使い道に関して彼女だけで無く一緒に住んでいた彼女の両親にも嘘をついたため怒りを覚えていると言った。
私は彼女に「ええ、今あなたが怒りを感じているのは目を見れば分かります。そこで聞きたいのですが今、あなたはどのような想い(感情)を抱いているのですか?」と質問しました。
すると彼女は自分の想いというよりも、元夫に対しての判断や所見、彼に対しての意見などを私に話した。
ただ、彼女は「わたしは自分の気持ちを抑えている」とも打ち明けてくれた。
そこで私は彼女に「私が元夫だと思ってその感情をぶつけてみてください」と言った。すると彼女は自分も以前の状況の中で悪かったことなどを話し始めた。
私はもう一度彼女のフォーカスを戻し、始めに「私は...に対して怒っている。。。」という言葉から始め、私に直接怒りをぶつけるようにと彼女に伝えた。
そして、やっと彼女は自分の気持ちを表現することができ、彼女が何に対して怒っているのか言葉に出すことが出来た。私は彼女の気持ちを汲み取り、彼女が怒りを持っているのはもっともで、彼女がどうして怒るのか分かる、ということを伝えた。そして、彼女が自分の怒りを表現するうちに涙も出てきて、彼女の痛みが伝わってきた。
私は、彼女にこのように自分の気持ちを正直にぶつけ続けることを勧め、彼女はそうするうちに怒っては涙を流し、泣いては怒りをぶつけてくることができた。
又、彼女は自分が聞いてもらえることを理解するにつれ、自分に自信を持ち、自分の気持ちを素直に表現することができた。その中で、彼女が自分の気持ちを振り返り無言になり、ただ私がうなずいている時もあった。
セッションが終わる頃には彼女の心はとても軽くなり、今まで離婚後抱えていた痛みと怒りを外に出すことができていた。
彼女は自分自身の感情に押しつぶされない様に長々と自分の体験を話していたが、私はこのプロセスが上手くいくために、彼女を常に自分の感情にフォーカスさせ、この体験を通してどのように感じているかを理解させ、彼女の体験に自分もロールプレーをして入る必要があった。私は彼女に人間関係による怒りを真正面からぶつける機会を与え、彼女が自分の心のうちを上手く表現できるようサポートし励ましてあげた。それをうまくできるまでは少し時間がかかった。また、私は彼女が自分の感情と向き合うのを回避しようとしているのが分かっていたので、彼女が自分が体験したことや感じたことと向き合える様助けてあげた。
また、彼女の話を聞きながらわたしは頷き、彼女の話に耳を傾けた...それは彼女がずっと求めていたことであり、彼女は今までずっと誰かに自分のことを見てほしい、聞いてほしい、と思っていたのだ。私は彼女の元夫では無かったが、彼女が満足を得るには十分な「代理」だった。又、私が男性だということは彼女の中の怒りを掻き立てるには十分であったし、私の彼女に対する受容性(彼女の話しを受け入れる態度)はただ演技をしているだけでは無いということを彼女は感じることができた。
特にこのセッションを通して注目したいのは、彼女が怒鳴ったり、叫んだり、枕を叩いたり、声を張り上げたりしなかったことだ。怒りというものはその人がどのように人との関係で用いるか、また自分がどのように自分の怒りに対し対応するかによって変わり、必ずしも感情表現をするドラマチックなセラピーを通してではない。

2015年4月24日金曜日

Case #34 - コンタクト法(ひと触れ合うこと)と正直さ

ネーソンは体格の良い男性で、気配りがうまく、その場にいると存在感がある人だった。
彼の抱えていた問題は人と正直になることができないということだった。
ネーソンは人とほとんど喧嘩をしたり、口論したりすることがなかったし、仕事や家でもおおらかな人だった。
彼が子供の頃、兄と姉が良く激しい喧嘩をしていた中、ネーソンは「良い子」として育ってきた。子供のころ、ネーソンを大きく影響した出来事がいくつかあった。一つは、彼が兄に対し非常な怒りを覚え、兄に物を投げ、もう少しで兄の目を突き刺してしまいそうになった時。もう一つはネーソンが学校で同級生の男の子を殴り、その同級生がネーソンの家に来て彼の顔を引っ掻いたこと。
その時以来ネーソンは内気になり、あまり自分の感情を出さなくなった。
ネーソンは明らかに権力のありそうな人で、体格からもそれが分かるほどだったので、私はネーソンが自分に自身を持っていないと打ち明けてくれた時はとてもびっくりした。
彼は他人に対しとても厳しく、そのためあまり自分の考えを公言しないようにしていると私に教えてくれた。
なので、私はまず彼が他人と正直に付き合うことができるよう、いくつかのプロセスをふむことにした。
このプロセスには3つの要素があった。それは、「彼が物事をどう考えているか」、「彼が物事に対し感じたこと」、そして「彼が他人にして欲しいこと」だ。
私はこのプロセスの一連を彼と練習することが出来、彼は簡単にこのプロセスを取得する事が出来た。
私はこれをauthentic meeting(正直に人と向き合う練習)と呼んでいる。このプロセスを繰り返すことで人との会話でも自分の正直な気持ちを話せるようになり、人間関係でも真っ正面から人と向き合うことができるようになる。
私はネーソンに3人の人とこのプロセスの練習をしてみることをすすめた。一人目は予想通りの対応をしてくれた。2人目の女性はわりと複雑な対応をしてきたので、ネーソンはそれにどう応対すればいいのか分からなくなってしまった。私は彼にフィーリングステートメント(感情を表す文章)を使うように勧めた。私は、特に女性とは、一つauthentic meeting statement(その人に対し正直に自分の考えなどを伝える)をするごとに、3つフィーリングステートメントを入れること、と教えた。
その後彼は3人目の人ともauthentic meetingの練習をした。
私は「authentic meetingをやってみて、どう?」と聞くと、「結構簡単だった」と彼は答えてくれた。
彼の答えを聞き、私はネーソンは少し方向性を示してあげ、それを行動に移すためのサポートさえあれば上手くできるクライアントだということが分かった。
男性として、彼ははっきりとした指示を求めていた。そして力のある者として、彼は自分のプライドを曲げずに自分を助けてくれる人を密かに求めていた。
ネーソンはこのプロセスを一人でも上手く続けていくことができる、と私は確信した。
もちろん、彼の子供の頃のことや彼が問題を回避していることに焦点をあてることもできたが、この方法は今現在の彼の状態や、これからの事にフォーカスすることができ、すぐに効果が見れる方法だった。彼が自分に自身が無いのを見ると、このように早く結果が見れるものはとても大事だと思う。またこのauthentic meetingというプロセスは彼がこれからも人と正直に向き合っていくために良い土台になると思う。
ゲシュタルト心理学でコンタクト(人との触れ合い)はひとつのキーポイントであり、今回のセッションではコンタクト法を用いている。

2015年4月17日金曜日

Case #33 - 包み隠さず心を開く

ジェームズは一週間休みもなく働き、よく他の都市へ出張のため飛んだりしており、金曜日には疲れて家に帰ってきていた。そのため、彼はいつも家に帰ると、妻と子供達が彼を待っている「憩いの場所」を求めていた。
しかし彼の妻はトップレベルの人事マネージャーとして働いており、ほとんど家を出ていることが多かった。彼は自分の気持ちを彼女に伝えると、彼女は自分の仕事も大事だし、彼の気持ちの整理は彼女の責任では無い、と答えた。
もう結婚して何年も経っており、ジェームズ夫婦は2人とも自己成長と占星術に興味があった。ジェームズは自分はかに座で、自分の気持ちには敏感なタイプだと言っていた。
彼らはお互いを心から愛していたが、同時にけんかもよくあったのでジェームズはけんかを減らして夫婦としてもっと仲良くなりたいと思っていた。
これを聞いて私は彼らの夫婦関係をどのように仲裁したらいいのかを思いつくことができた。
わたしはジェームズに、彼の妻がして欲しいこと、ジェームズが自分にして欲しいと思っているように、妻が夫にして欲しいことはどのようなことがあるか、と聞いてみた。その問いに対し、彼は妻が仕事でのプレゼンをする時に、そのことを彼に話し彼の理解を得、彼女の仕事を認めて欲しいと思っていることを私に話してくれた。
私は彼に他にも何かないか聞いたところ、彼は妻が(大体は自己成長に関する)読書をする際に、彼にも読んで一緒に本のことを話したいと思っている、と教えてくれた。
私はジェームズに彼が妻の望んでいることをしているか聞いたところ、彼は「ある程度やっているけど、彼女が望んでいるほどはしていない」と答えた。
そのため、私はまずジェームズが奥さんの望んでいることを真剣に受け止め、それらを誠心誠意をもって行動にうつすよう勧めた。
まずは、これらの事をある程度の期間行ってから、ジェームズにとって妻が金曜日家にいることがどれほど大切なのか、彼の切実な想いを妻に伝えるようすすめた。
私は自分の体験を例として挙げた。
私が子供のころ、私の家では誕生日というのはとても大切な日として祝われていた。しかし私の妻はほとんど祝ってもらうことが無かった。しかも、彼女の姉妹は祝ってもらえたのに彼女の誕生日は忘れられていた、ということもあった。
だから私の妻は「誕生日」というものに対しあまり良い感情を抱いていなく、自分の誕生日のお祝いはこじんまりとしたものが好きだった。
しかし私は誕生日は「自分が主役」と思っていたし、そのように他の人にも思って欲しかった。だから妻が私の誕生日にそのようにしてくれなかった時はとても心が傷ついた。ただ、妻は私のこの気持ちを理解することがなかなかできなかった。
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このことに対し、私が妻に伝える「切実な想い」とはこういうものになると思う。
僕は君が「誕生日」というものに対しあまり良い感情を抱いていないのをしっているし、子供のころあまり誕生日に良い経験をしていないのを良く分かっている。それでも僕の誕生日は特別な日として祝ってくれようとすごく頑張ってくれているのを知っているし、本当に感謝している。でも、たまに僕の誕生日でも君は色々な理由で気分が向かなく、自分がやりたいこと以上のことをしてくれるのが難しい時もあったと思う。君は自分の誕生日はあまり特別な日として祝われていなかったという経験から、「誕生日」という日にはあまり興味がないことも知っている。しかし、僕は自分の誕生日というものに対して、少し違う想いを持っている。僕は誕生日の日は「自分が一番」というのが普通だと思うし、もし君が気分が向かなくても、一年のうちその日だけ、特別な日として扱ってくれると凄く嬉しい。そうしてくれると嬉しいし、君が無理をしてでも特別な日としてくれようとしているのを分かっているから、尚更嬉しいと思う。君にとってこの話は少し重いのが分かっているから、このことを話すのは僕にとっても難しいことだ。でも、君がこのことについて考えてくれたら嬉しいと思うし、少し考えてからまた話したかったら、今度また話そう。
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私が自分の実体験から語ることにより、ジェームズに具体的に、どう奥さんに自分の思いを伝えることができるのか、例を示すことができた。
ゲシュタルト法は人との関係をより深め、正直に人と向き合い、人とのつながりと信頼感をより良くしていけるようにする心理学方法だ。既に基本的はコミュニケーション方法を分かっているクライアントに対し、このように対応するのを、一つの例して挙げている。

2015年4月10日金曜日

Case #32 - 自分の今持っているものを活用する

ダイアンは気がかりなことが2つあった。まず一つめは12歳の息子が、彼女が望んでいるほど勉強をしていなかったことだった。
私は息子さんの成績に関して、数字をつけるとしたらどれくらいか聞いたところ、彼女は6か7と答えた。息子さんが宿題をやっているか、という問いには、きちんとしていると彼女は答えた。しかし、優秀な学校に入るためには優秀な成績が必要なので、彼女はプレッシャーを感じていた。
彼女との対話で、私はまず自分の教育論を彼女に伝えた。私は子供が親を敬うべきだと思うし、子供にはバランスのある生活をさせることがいいとも思っているが、子供が優秀な成績をとるということが人生での一番のゴールであるとも思っていない、ということを伝えた。
私が自分の考えをダイアンに伝え、お互いどのような点で違う意見があるのかを見つけることは、私が彼女を助ける上で(また私ができることに限りがあることも知るため)とても重要であった。
彼女はいくつかの教育本を読んでから、息子に少し余裕を持って対応しようとしていたが、彼の将来のことも心配で、どのようにうまくやる気を起こさせることができるのかわからなく、心の葛藤を覚えていた。
そこで、私は彼女にこう提案した。まず息子さんと座って話しをし、彼の成長の上でダイアンにとって何が大切なのかを伝えること。
そうした後に彼女は息子が、今自分の直面している現状をはっきりと理解できるよう、どのような状況下にあるのかを伝えるよう提案した。学校や社会では競争率が激しいということ、また特定の学校に入るためにはある程度の成績が必要だということ。息子が理解しやすいように、様々な学校と入学に必要な条件、またそれぞれの学校に通う上での良い点、マイナスな点を挙げるよう、提案した。
このように提案した後、息子が自分の目標設定をし、自分が将来どのようになりたいか、またそれを実現するにはどのようなことをしないといけないかを考えていくことができるよう、母として息子を支えるよう提案した。
こうすることでダイアンは息子に自分の気持ちを正直に伝え、且つ彼が自分で物事を判断できるよう、支えることもできる。息子に対しての想いから自分が息子の代わりに物事を判断し進めるのでは無く、息子に責任を取らせ、その上で彼を陰で支えるということができる。
彼女のもう一つの問題は夫との関係だった。ダイアンの夫は帰宅後、ビールを飲み、新聞を読んで、自分のブログを書き、妻と子供達は完全に無視するのだった。
もちろん、ダイアンはこのような夫の態度に愛想を尽かしていたが、自分ではどうしていいのか分からなかった。
夫はたまに家族と時間を過ごしたり、家族行事にを企画し、家族と過ごす時間を自ら作り、料理をしてくれることもあった。
しかし、彼は昔からあまり会話が得意ではなかったのは、ダイアンも承知済みだった。
ダイアンの話を聞いていると、夫に嫌みを言ったり、要求をしたり、お互いどのように思っているかを言葉を通して伝えるのは夫にはあまり効果がなさそうなのが分かってきた。
私はダイアンに夫のブログはどのようなものかを聞いてみた。彼女は、夫のブログは自分の考えを明確に書いているし、面白いし、おもしろいコメント付きの写真も載っている、と教えてくれた。彼女は夫と会話する時もそのように楽しませてくれることを願っていた。
これを聞いて、私はダイアンがするべきことをすぐに思いついた。彼女は夫を変えることはできないが、夫の趣味に参加することができる、と。彼女に夫がipadを持っているか聞くと、彼女は「私が隠した」と答えた。
私は彼女に夫にすぐにでもipadを返し、自分も一つ買うよう指示した。そうすることにより、ダイアンは夫のブログを通して彼と会話をすることができると思った。夫はブログに投稿してくれる人には必ず返事をしていたので、彼女はブログに投稿し、彼にメモや、手紙、一行コメントを送ることで彼とうまくコミュニケーションを取ることができると思った。また、彼が座って新聞を読んでいる時でもちょっとしたコメントをブログに投稿してもいい。更には、彼に手紙を書き、それをプリントし、夫に郵送したり彼の枕元に置くのでもいい。
こうすることによって、私は彼女が既にもっているものを活用できるようにした。特に彼女との精神的な面のカウンセリングをしたり、夫があまり彼女と時間を過ごしてくれないのは彼女にどこか悪い所があるのだ、というようなことを思わせないようにしていた。むしろ、彼女自身の今もっているものでクリエイティブな解決策を考え、夫とのある程度決まった形の夫婦関係からどのように一歩踏み出せるかを一緒に考えた。

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このブログに掲載されている事例を、セラピスト、学生、そして支援職の方々に捧げます。その目的は、ゲシュタルト療法のアプローチが、どのように実践されているかを知っていただくためです。

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Permission to feel: https://youtu.be/2rSNpLBAqj0 (54m)

Marriage after 50: https://youtu.be/JRb1mhmtIVQ (1h 17m)

Serafina - Angel wings: https://youtu.be/iY_FeviFRGQ (45m)

Barb Wire Tattoo: https://youtu.be/WlA9Xfgv6NM (37m)

A natural empath; vibrating with joy: https://youtu.be/tZCHRUrjJ7Y (39m)

Dealing with a metal spider: https://youtu.be/3Z9905IhYBA (51m)

Interactive group: https://youtu.be/G0DVb81X2tY (1h 57m)