2015年3月28日土曜日
Case #31 - 親密な夫婦関係を築くためセックスを用いる
ルイーズは夫との夫婦関係に物足りなさを感じていた。
彼女の夫は5年前に不倫関係に陥った。不倫は1年ほど続いたが、夫は妻にそのことを告白し、ひざまずき赦しを乞いた。それで終わったはずだった。
その後、ルイスと夫との関係は徐々によくなってきたが、ルイスはまだ心の中に抱えている問題がいくつかあった。
夫が不倫のことを妻に告白したとき、ルイスはわりと冷静に対応することができた。彼が離婚を選ぶのかどうかなど、冷静に考えることができた。彼女の対処法は状況を把握し、彼女と夫がどのような立場にいるのかを考えることだったし、それはこの場を切り抜けるには良い心の生存方法とも思えた。
しかし、後になってから悲しみがおそって来た。
最近は怒りも感じていた。
しかしルイスは夫に自分の心に感じていることを打ち明けなかった。それは、彼女の怒りは自分のせいであると夫は自覚していたので、もし彼女にあまりにも怒りがあれば、夫は離婚をしてもいいと言っていたからだ。ルイスは、自分の怒りを夫にうちあけたら、夫が彼女のもとを去ってしまうのでは、と恐れていいた。
しかしながら、それらの気持ちは彼女の心をどんどん蝕んでいっている。夫との関係は改善してきたが、ルイスは未だに夫に対して完全に心を開けていない。これは夫婦生活にも影響していた。私がルイスに夫との夫婦関係について聞くと、1ヶ月に4回程度しかセックスをしないと彼女は答えた。
私は更にルイスと夫が一日のうちどれくらい会話する時間をもつかと聞いたところ、1日30分程度との答えが返って来た。
私は彼女に、夫の感情知性度 (emotional intelligence level)を聞いたところ、彼女は「3」と答えた。あきらかに、この程度では夫に自分の気持ちを伝えるのは難しいと私は判断した。彼女が自分の気持ちを表現できるようにしたとしても、あまり役に立たないだろう。怒りを外に出すことはできるが、夫がそれに対応できるかどうか分からないままでは、彼らの関係をより親密にするのは難しいと思った。だが、彼女が夫に自分の心の中を打ち明けずには、表面的とも言える彼らの夫婦としての関係を変えるのは難しいだろう。
ゲシュタルト療法は「赦し」にフォーカスするよりも「ありのまま」に焦点をあてている。しかし、今回の場合、ルイスがまだ自分でも気づいていなかった対処法を彼女は既にいくつか持っていた。
ルイスは教師をしていたが、年々、指導する上で「やるべきこと、やらぬべきこと」に固執することをやめ、指導方法を変えるよう努力していた。そして指導方法を変えることで彼女は自分の生徒達が変わっていくことに気づき始めた。
また、彼女は近年「自分を探す旅」もはじめていた。
なので、私は彼女が自分自身で問題に向き合うための方法を持っていることを理解しており、彼女は成長しようと努力しているのも目に見えていた。
ただ、残念ながら夫との関係にはまだこれらのことが適用されていないようだった。
私はルイスの精神面や私との対話によるセラピーよりも、彼女と夫の夫婦関係にフォーカスすることが大切だと思った。
そこでいくつか「宿題」を出すことにした。
わたしは一つの条件をだした。より親密な関係を気づくために夫とのセックスを増やすこと。
私は彼女にこう伝えた。夫ともっとセックスをしたい、もっと近い関係を築きたいと伝えなさい、と。そしてそのためには夫ともっと親密な関係を気づく必要があると。
そして、一日のうち30分は一緒に過ごし、親密な関係を築きあげることを提示した。例えば、小さいことでもお互い正直に自分の思いを伝える、一緒に本を読み、読書感想をシェアする、お互いの言っていることに耳を傾ける、感情を表現する、お互い自分がされて嫌だと思うことなどを分かち合う場所を作る、など。そのようにしてお互いの信頼と親密感をより良くしていくことができると思った。
確かに、「どうして私だけががんばらないといけないのだろう」という彼女の気持ちもわかる。ある意味、彼女が先生の立場をしていて、彼女が支持をとって物事をすすめないといけないし、夫にうまく自分の怒りを伝えることができるように、彼女が先導して働きかけ、彼よりも2倍もの努力をしないといけない、というのは確かに不公平だと私も思う。
しかし、こうすることにより、沢山の祝福もあるし、彼女が求めている「夫とのより良い関係」もこうすることにより築くことができるだろう。
そして、ルイスがひとりで頑張るのではなく、夫と妻として同じ目標に向かって歩んでいくことができると思う。
上記で述べたアプローチ法は「カップルとしての関係を片方を通して改善する」という方法を用いた。というのは、この方法を用いる際にはクライアント個人にフォーカスするよりも、男女(カップルとして)の関係に焦点をおくことが重要だからだ。そうすることによって、お互いの関係を強める方法を探っていくことができる。
多くの場合「感情」、「アイデンティティー」、「自分の人生ストーリー」などは男女の関係(カップルの関係)から形成されていることがある。そのため、ものごとに変化をもたらしたい時、個人の体験だけに集中するよりも、カップルとしての関係を変えていくのが効率的である。ゲシュタルト心理学ではこのように、個々にフォーカスするよりも全体を変えていくアプローチである。
夫の態度を変えるためにセックスを用いるというのは利用しているように見えるが、特に考えずにこのようなことをしている人は結構いる。もし誰かが自分のしていることを自分で理解し、それを人間関係の中で正直に相手に伝えていくのなら、それは自己利用のためではなく、相手に対して正直になることであると私は思う。また、そのような「交換」はこのような例ではカップルとしての関係をより良くするための方法であるとも思う。
彼女の夫は5年前に不倫関係に陥った。不倫は1年ほど続いたが、夫は妻にそのことを告白し、ひざまずき赦しを乞いた。それで終わったはずだった。
その後、ルイスと夫との関係は徐々によくなってきたが、ルイスはまだ心の中に抱えている問題がいくつかあった。
夫が不倫のことを妻に告白したとき、ルイスはわりと冷静に対応することができた。彼が離婚を選ぶのかどうかなど、冷静に考えることができた。彼女の対処法は状況を把握し、彼女と夫がどのような立場にいるのかを考えることだったし、それはこの場を切り抜けるには良い心の生存方法とも思えた。
しかし、後になってから悲しみがおそって来た。
最近は怒りも感じていた。
しかしルイスは夫に自分の心に感じていることを打ち明けなかった。それは、彼女の怒りは自分のせいであると夫は自覚していたので、もし彼女にあまりにも怒りがあれば、夫は離婚をしてもいいと言っていたからだ。ルイスは、自分の怒りを夫にうちあけたら、夫が彼女のもとを去ってしまうのでは、と恐れていいた。
しかしながら、それらの気持ちは彼女の心をどんどん蝕んでいっている。夫との関係は改善してきたが、ルイスは未だに夫に対して完全に心を開けていない。これは夫婦生活にも影響していた。私がルイスに夫との夫婦関係について聞くと、1ヶ月に4回程度しかセックスをしないと彼女は答えた。
私は更にルイスと夫が一日のうちどれくらい会話する時間をもつかと聞いたところ、1日30分程度との答えが返って来た。
私は彼女に、夫の感情知性度 (emotional intelligence level)を聞いたところ、彼女は「3」と答えた。あきらかに、この程度では夫に自分の気持ちを伝えるのは難しいと私は判断した。彼女が自分の気持ちを表現できるようにしたとしても、あまり役に立たないだろう。怒りを外に出すことはできるが、夫がそれに対応できるかどうか分からないままでは、彼らの関係をより親密にするのは難しいと思った。だが、彼女が夫に自分の心の中を打ち明けずには、表面的とも言える彼らの夫婦としての関係を変えるのは難しいだろう。
ゲシュタルト療法は「赦し」にフォーカスするよりも「ありのまま」に焦点をあてている。しかし、今回の場合、ルイスがまだ自分でも気づいていなかった対処法を彼女は既にいくつか持っていた。
ルイスは教師をしていたが、年々、指導する上で「やるべきこと、やらぬべきこと」に固執することをやめ、指導方法を変えるよう努力していた。そして指導方法を変えることで彼女は自分の生徒達が変わっていくことに気づき始めた。
また、彼女は近年「自分を探す旅」もはじめていた。
なので、私は彼女が自分自身で問題に向き合うための方法を持っていることを理解しており、彼女は成長しようと努力しているのも目に見えていた。
ただ、残念ながら夫との関係にはまだこれらのことが適用されていないようだった。
私はルイスの精神面や私との対話によるセラピーよりも、彼女と夫の夫婦関係にフォーカスすることが大切だと思った。
そこでいくつか「宿題」を出すことにした。
わたしは一つの条件をだした。より親密な関係を気づくために夫とのセックスを増やすこと。
私は彼女にこう伝えた。夫ともっとセックスをしたい、もっと近い関係を築きたいと伝えなさい、と。そしてそのためには夫ともっと親密な関係を気づく必要があると。
そして、一日のうち30分は一緒に過ごし、親密な関係を築きあげることを提示した。例えば、小さいことでもお互い正直に自分の思いを伝える、一緒に本を読み、読書感想をシェアする、お互いの言っていることに耳を傾ける、感情を表現する、お互い自分がされて嫌だと思うことなどを分かち合う場所を作る、など。そのようにしてお互いの信頼と親密感をより良くしていくことができると思った。
確かに、「どうして私だけががんばらないといけないのだろう」という彼女の気持ちもわかる。ある意味、彼女が先生の立場をしていて、彼女が支持をとって物事をすすめないといけないし、夫にうまく自分の怒りを伝えることができるように、彼女が先導して働きかけ、彼よりも2倍もの努力をしないといけない、というのは確かに不公平だと私も思う。
しかし、こうすることにより、沢山の祝福もあるし、彼女が求めている「夫とのより良い関係」もこうすることにより築くことができるだろう。
そして、ルイスがひとりで頑張るのではなく、夫と妻として同じ目標に向かって歩んでいくことができると思う。
上記で述べたアプローチ法は「カップルとしての関係を片方を通して改善する」という方法を用いた。というのは、この方法を用いる際にはクライアント個人にフォーカスするよりも、男女(カップルとして)の関係に焦点をおくことが重要だからだ。そうすることによって、お互いの関係を強める方法を探っていくことができる。
多くの場合「感情」、「アイデンティティー」、「自分の人生ストーリー」などは男女の関係(カップルの関係)から形成されていることがある。そのため、ものごとに変化をもたらしたい時、個人の体験だけに集中するよりも、カップルとしての関係を変えていくのが効率的である。ゲシュタルト心理学ではこのように、個々にフォーカスするよりも全体を変えていくアプローチである。
夫の態度を変えるためにセックスを用いるというのは利用しているように見えるが、特に考えずにこのようなことをしている人は結構いる。もし誰かが自分のしていることを自分で理解し、それを人間関係の中で正直に相手に伝えていくのなら、それは自己利用のためではなく、相手に対して正直になることであると私は思う。また、そのような「交換」はこのような例ではカップルとしての関係をより良くするための方法であるとも思う。
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