しかし、彼女の両親は宗教的ではあったがジョアンの体験を真に受けず、彼女は頭がおかしくなったのだ、などと言った。
そこでジョアンは神父のところへ言ったが、神父からさえも彼女は頭がおかしくなったと言われたかのように、ジョアンは一生精神的な治療が必要だと言われてしまった。
はじめはジョアンの考えに賛成していた一番仲の良い叔母さえも、彼女の話を聞いてあきれてしまったのだった。
このようなことがあってからジョアンは「外の世界」へと逃げ出し、スピリチュアルなものとの関係は一切断ったが、心にはぽっかりと穴があいてしまった。
私はジョアンに「神様を椅子に座らせ」、彼と直接語り合うように言った。しかし彼女はそれに対し「2つ椅子が必要だ」と言った。それは一つは一番最初に神様に出会った時を示し(「はじめてのボーイフレンド」のようなものだと彼女は説明した)、もう一つは神様との現在の関係を表すものだった。
彼女の対話はまだ関係を断ち切れていない愛人との会話のようだった。彼女にとっては神様からの「裏切り」に対しまだまだ心の中で解決できていないことがたくさんあり、とてもセンシティブなことだったので、気をつけながら彼女の現在の心境などを聞き出したりした。
以前はジョアンがこのような話を持ち出すにつれて「頭がおかしい子」と思われてしまっていたので、彼女はとても敏感になっていた。そのため私は彼女の考えを肯定的に思っていることや彼女への励ましの言葉を与えたり、彼女が感じていることは確かなものであることを伝え、彼女をなるべく励ますように心がけた。そして一緒にグループセラピーにいる他の参加者たちからも励ましの言葉をもらうようにした。それは、自分の心に恥を持っていることに関して、あえて他人からポジティブなフィードバック(励まし)を言葉に表してもらうことがとても大切だからである。彼女が当たり前のように他人からそのような思いを受け取っていると推測するだけでは十分でないからである。
以上はゲシュタルト法を用いてクライアントの霊性にふれ、スピリチュアリティに関する傷を癒す方法の一例である。神との関係はある意味人との関係に似ていて、他人との関係を修復する時に用いるセラピーを適用することで、彼らの心の傷を癒して行くこともできるのだ。